内服育毛剤であるプロペシア(フィナステリド)やザガーロ(デュタステリド)と言った活性化男性ホルモンを低下させる薬剤では、勃起力を弱める副作用が指摘されています。

 

さらに問題なのが、勃起機能が薬剤を中止した後もなかなか元に戻らないという点です。

薬理学的に活性化男性ホルモンは薬剤の中止により速やかに戻るはずですが、勃起力が戻らないのはなぜでしょうか?

 

前回からその様な疑問に答える下記の研究を紹介しています。

 

Dutasteride-mediated morphological changes in the genitourinary tract associated with
altered expression patterns of the androgen and estrogen receptors in male rats 

(デュタステリドが雄ラットの尿路生殖器系に与える器質的変化)
 

これは私が神戸大学在職中の2016年にAndrology誌に発表した研究です。
 

この研究では雄ラットをコントロール群とデュタステリド内服群、去勢群の3群に分けて調査しています。

これまで、男性ホルモン濃度の低下や組織の大きさへの影響などについて見てみました。

 

 

今回は、各組織の線維化について見ていきます。

 

 

下の図は、各組織の線維化の程度をアザン染色という染色法で顕微鏡下に確認したものです。


 

これを見ると、去勢群では前立腺とペニスの組織の萎縮が顕著で線維化のレベルも顕著です。

 

一方、デュタステリド群において前立腺の線維化は去勢群ほどではありませんが認めています。

同様にペニスにおいてもコントロール群と比較して線維化を認める事が確認できます。

 

写真を良く見ると、ペニスの組織が少しスカスカになっており、その分線維化の割合が高くなったようです。

 

 

次回はホルモンの受容体への影響を見てみます。

 

以前の記事もご参照ください

育毛剤が勃起力を弱める。その仕組みについて① ホルモン濃度は

育毛剤が勃起力を弱める。その仕組みについて② 組織の大きさへの影響は

育毛剤を飲むと勃起機能や性欲を弱める。やめても元に戻らない!?

育毛剤が精子に与える悪影響について

 

(文責:[医師部門] 江夏 徳寿 [理事長] 塩谷 雅英)

 

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