前回は医薬品の「添付文書」には、その薬を使用するための方法などが書かれているというお話をしました。
実は添付文書のなかで大部分のスペースを占めているのが「使用上の注意」の項目です。
ここには、その薬を適切にかつ安全に使用するためにとても重要な情報が書かれていますので簡単に紹介していきます。
ひとつ目は、「禁忌」や「慎重投与」といわれるものです。
これは、このような人にはこの薬は使用できませんあるいは使用するには注意が必要ですよといった情報です。
たとえば、避妊や月経困難症などに使うピル製剤には20項目以上に渡って禁忌が書かれています。
一例を挙げますと「35歳以上で1日15本以上の喫煙者」といった記載もあります。
これは過去のデータからこのような方がピルを服用した場合、それ以外の方と比べ心筋梗塞(心臓の血管が詰まる)が起こりやすくなることが判っているためです。
その他の薬では、みなさんもよく使われるロキソニンなどのNSAIDsと呼ばれる鎮痛剤は胃潰瘍や十二指腸潰瘍のある方には禁忌とされています。
これは、これらの薬の作用により胃を酸から保護している粘膜が弱くなってしまい潰瘍が悪化することがあるからです。
薬を処方する側の医師もこのような「禁忌」に該当しないか確認して処方します。
次に「相互作用」の項目です。
これはいわゆる薬の飲み合わせについて書かれています。
一緒に使用するとお互いの作用が強くなったり弱くなったり、副作用が強く出たりする可能性のある組み合わせがその理由とともに書かれています。
絶対に一緒に使用してはいけない危険な組み合わせ(併用禁忌)や、一緒に使用する場合は注意しながら(併用注意)といった記載があります。
以前ハナブロ記事でもご紹介したED治療薬のバイアグラの添付文書には、狭心症や高血圧で使う血管拡張剤とは併用禁忌と記載されています。
次回は副作用に関する項目について紹介したいと思います。
以前の記事もご参照ください
医薬品の添付文書に書かれていること~使用する上で欠かせない情報
ハナブロテーマ「お薬の話」
バイアグラは勃起を維持する薬 その仕組みと気をつけることについて
(文責:[生殖医療薬剤部門] 山本 健児 [理事長] 塩谷 雅英)
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