夏でも流行ることがあるインフルエンザですが、やはり猛威を振るうのは冬です。
もう間もなく予防接種も始まる時期ですが、今回は新しいインフルエンザの治療薬についてお話ししたいと思います。
今年2月にインフルエンザ治療の画期的新薬といわれる「ゾフルーザ」という薬が承認されました。
塩野義製薬ホームページより
インフルエンザの治療薬といえば、タミフルが発売されたのが2001年のことですからもう17年以上前のことになります。
それから吸入薬のリレンザやイナビル、点滴注射のラピアクタなどが使われるようになりました。
それまではインフルエンザの治療といえば解熱・鎮痛剤で症状をやわらげるくらいしかありませんでしたから、これらの薬も十分画期的な薬であったと思います。みなさんも一度はお世話になったことがあるかもしれませんね。
これらの薬がインフルエンザに効く仕組みは、インフルエンザウイルスが出す「ノイラミニダーゼ」という酵素を阻害するというものです。
もう少しわかりやすくお話ししましょう。
ウイルスというのは細菌と違い自分自身で増えることができません。ヒトの細胞のなかに入り自身を複製して細胞から出ていき広がっていきます。
ノイラミニダーゼという酵素はインフルエンザウイルスが宿主(ヒト)の細胞から出ていくときに働く酵素です。ですのでこれを阻害すればウイルスが別の細胞へ拡散することを防ぎ、結果的に体内でのウイルスの増殖を抑えることができます。
よく、インフルエンザの治療薬は発症から2日以内に使用しなければ効果がないと言われますが、薬の働く仕組み上、ウイルスを減らすことはできないため、増えてしまってからでは効果はあまり期待できないからです。
今年の2月に先駆け審査指定制度に指定された医薬品で初めて、新しいインフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」が承認されました。
先駆け審査指定制度とは、これまでの薬と異なる作用により、生命に重大な影響がある重篤な疾患等に対して、極めて高い有効性が期待される医薬品が指定され、審査などにおいて優先的な取扱いがされることになるという制度です。患者さんに世界で最先端の治療薬を最も早く提供することを目指して作られたものです。
この制度で承認された医薬品の第1号が「ゾフルーザ」だったのです。
次回はゾフルーザがこれまでのインフルエンザ治療薬と比べどう画期的なのかをお話しします。
以前の記事もご参照ください
新薬ってどのように開発されるの その1
(文責:[生殖医療薬剤部門] 山本 健児 [理事長] 塩谷 雅英)
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