「ひとりぼっちの政一」 | 0から9まで

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石川県の地震で

思い出した本がありました。


珠洲市が舞台の話です。


政一は父、そして次に母と別れて

(置いて行かれてしまった)

祖父母宅で暮らしている。

いつかは母と一緒に暮らせるかと

密かな希望を抱いて暮らしていたが

葉書が一度来たきりで

政一を迎えにくることはなかった。


そして6年生になった政一は

クラス分けの表を見ていて

自分の名前がどこにもないことに気づく。

政一は特殊学級に6年生では一人、

入ることになったのだった。


一緒に暮らしている祖父母も

政一に優しく接する事はなく

特殊学級に入った事で

友達とも距離が開いてしまう。


それでも担任の先生との触れ合いの中で

政一は少しずつ変わっていく


私も田舎で育った。

都会でもひとりぼっちは辛いが、

まだ紛らわせてくれるものがある気がする。

田舎でひとりの辛さは

言いようもないくらいしんどい。


政一がへんに良い子に描かれず、

妬んだり僻んだりするところも多く書かれていた。

6年生といえば反抗期にもなる年齢である。

おばあさんの嫌味な一言に

傷つき、強い言葉で言い返したりするので

余計に可愛げがないと思われてしまう。

そしてまた深く傷ついてしまう。


親から買い与えられた本は

なかなか自分から読みたい気持ちを起こさせない

ものだが、それでも本棚に並んでいる本の中では

この本は何度も開いた本になる。


それは

学校でなかなか上手く友達関係を作れなかったり

当時姉妹の関係でもうまく行かなかった

私自身を政一と重ね合わせていたからだと

思う。


特殊学級の担任の先生との出会いは

政一にとってとても有意義なものだったと

思われるのだが

あとがきで

大きくなった政一に当時のことを尋ねた

文章があり

あの頃のことはどう思っているのかと尋ねたところ


思い出したくない  


と返事が返って来た、というような

文章があったことを思い出す。

あの頃があったから

人として立派に成長することができた、等を

期待するのは早計だった。


傷ついた心は完治などすることはないかもしれない


そしてそんな文があったということは

実話だったかも知れず

本は絶版になっているらしいので

このあとがきに関しては

国立国会図書館で確かめるか

実家に帰った時に本を探すかでないと

真偽はわからないが

実話なら

そして今も珠洲市に住んでいるなら

政一は無事だったのかなと

思ったのだった。