†フェイク ラブ† -7ページ目

真実

『お願いです!』


『るうちゃんとりあえず頭あげてよ』


『60万…前借りさせて下さい!店長お願いします…』


『困ったなぁ~…うちの店はバンスはやってないんだよねぇ…。規則だからねー』


『そこをどうにか…あたし何でもしますからっ!』


『う~ん……』



店に出勤するなり、あたしは店長に頭を下げてバンスさせてくれと頼んだ。


『俺が個人的に貸してあげてもいいんだけど…』


『本当ですかっ!?』


『一つ訊くけど、るうちゃん何でそんな大金が必要なの?』


『彼氏の…お店にツケがあって……今月中に払わなかったら別れなきゃならないんです。そんなの嫌だから何が何でもお金が必要なんです』


はぁ…とため息をついて店長は煙草に火をつけた。




『るうちゃんの人生だからね、俺や周りが言っても仕方ないかもしれないけど…


るうちゃんは彼が必要?』


『はい、必要です』



『じゃあ彼は、るうちゃんを必要としてると思う?』


『…思います……』



『うん。確かに必要とされてると思うよ。るうちゃんのお金をね』



哀しい目で店長はあたしを見る。



『ようじが必要としてるのは…あたしじゃなくてあたしのお金……』


店長に言われた言葉を、あたしはうわ言のように繰り返した




『本当に好きならね、るうちゃんが今月中に払えなくても離れていかないよ?
払えないなら別れる、彼はそう言ってるんでしょ?
るうちゃんに気持ちがあるなら傍にいるはずだよ』



『…そんな……』



『本当はるうちゃんも、気づいてるんでしょ?
現実から目をそらして見えないふりしてるだけで。』




店長の言葉が


舞の言葉が



何度も頭の中で響いてた







あたしは、騙されてる…



ようじはあたしを好きじゃない………












――自分の置かれてる状況を把握して、るうはショックを隠しきれなかった…

売掛

『ようじぃ…どうしよう…売掛間に合わないかも…』

仕事が終わってからいつもの如くようじのいる店に行き、ようじが席に着くなりあたしは話を始めた。


本当は今日だって飲みに来てる場合じゃないんだけど…

ようじに会いたい気持ちを抑えきれずに足が向いてしまう。


『…は?』


『ごめんなさい…オープンからラストまで出勤してるんだけど思うように稼げなくて…』


恐る恐るようじの顔を見ると、凄く冷たい目であたしを見ていた。


『あ、そう。で、どうすんの?』


『色々考えてるんだけど…いい案が浮かばなくて』


『お前何歳だっけ?』


『え…19だけど……』


『あ~…じゃあダメじゃん。ソープは二十歳からじゃないと雇ってくんねーとこばっかだかんな』


『ソー……プ?』


『間に合わないにしても少しでも多く入金するにはヘルスよりソープの方が単価が高いから稼げる可能性あんだよ』


『へぇ…そうなんだ。ようじ詳しいんだね』


『あ~…でもお前の場合じゃせいぜい大衆店がいいとこか』


『大衆店?』


『いや、何でもない。まぁ、どうにかしろよ。』


『うん…頑張ってみる…』






家に帰り、電気もつけないままベッドの上に横になった



今日のようじ…なんだか怖かったな……




あの後も他のお客さんのところに行ってから戻って来なかったし…


思い出して深いため息をついていたら、ようじからメールが届いた。






『やっぱりお前には俺を支えるなんて無理だろ?別れよう』






…そんなの嫌ッ!!

離れたくないよ……




どうにかして稼がなきゃ!


『別れるなんて言わないで!ようじが大好きだから、あたし頑張るから…だからお願い……』


あたしは無我夢中でメールを作成して送信した。








――この時、ようじの思惑に気づいていれば…

まだ引き返せたかもしれなかったのに――

焦り

どうしよう…あと⑤日しかないのに……間に合わないよ………




ようじの先輩のヘルスに無事入店し、慣れない仕事も頑張ってこなしていた

女の子が少ないのもあって最初の一週間は順調に稼げた


けれど続々とスカウト経由で新人が入って来てからというものの、るうの稼ぎは決していいとは言えなかった。




…あれから連日連夜ようじに呼ばれてはシャンパンを入れまくって気づけば売掛は70万ちかくまで膨れあがった


今手元にあるのは16万。


明らかに足りない



どうしよう………

ようじに何て言おう…


とりあえず今日出勤したら店長に相談してみようかな…



憂鬱な気持ちを抱えたまま店のドアを押した。


『おはようございます…』

『おはよう!どしたの?るうちゃん元気ないね』


『あの…』


『ん?』


『今月中にあと60万位稼ぎたいんですけど…どうすればいいんでしょうか』



店長は飲んでいた缶コーヒーを吹き出した


吹き出したコーヒーが勢いよくあたしの衣服にかかった




最悪。



『ごめんごめん!』


『大丈夫です。その代わり60万下さい。それか60万稼がせて下さい』


『るうチャン冗談きっついな~!あははは…』


『いや、まじで』


『…まじで?』


『まじで』


『……今月中に60万は厳しいなぁ。だってあと5日しかないじゃんかー』







しょうがない……


極楽とんぼの太い方に似てる店長とは嫌だけど…




『店長、あたしを60万で抱いていいですよ』


あたしがそう言うと店長は座っていた椅子から滑って床に座りこんだ。


そんな昭和のリアクションされても…


『誰が60万出して極楽とんぼの太い方みたいな女とやりたがるんだアホ!!』




やだこの人自分の事棚にあげて。


ってあたしもか。




『と、とりあえず何か考えとくから。120%期待しないでね』



ゼロどころか可能性マイナスなの?




『あと、次ふざけた事言ったら客つけないから』






ごめんなさいでした。