†フェイク ラブ† -5ページ目

訪問

『あー…疲れたぁっ!』


ようじは部屋に入るなり、スーツのままベッドの上にドサッと倒れ込む。


『スーツしわになっちゃうよ、ようじー。はい、スウェット!あたしのだからウエストぶかぶかになっちゃうかもしれないけど…紐で調節すれば大丈夫だよね(笑)』


そう言いながら上機嫌な様子のるうは、ようじにスウェットを差し出した。



『あ~酔っぱらったぁ。やっぱシャンパンは酔うなー!』


ようじはさりげなく酒に酔った事をアピールしつつ、スウェットに着替える為スーツを脱ぎだした。



ようじがベルトに手をかけ下も脱ごうとしたその時、
るうは『あ、あたし化粧落としてくるね!』と言って慌てて廊下の方へと向かった。




…普通着替え程度で恥ずかしがるか?

処女じゃあるまいし。




着替えもすんで、ようじは一人、ボーッとるうの部屋を改めて見渡した。


前は出勤前に一回来ただけだったもんな…。

なかなか仕事先決めねーからヘルスの仕事を紹介するって煽った、あの時以来か…


…こいつの部屋、けっこう広いけど生活感ねーなー…

テレビに、テーブルに、ベッドに、等身大鏡と………
たくさんの写真が貼ってある大きなコルクボード。


目悪いから霞んで見えねー…



コルクボードの掛かった壁の方へ歩こうとしたその時。

褒美

ラーセン白・赤、ドルフィン、彩りどりのシンデレラ、ボトルネックが何本も絡みついた焼酎ボトル。



どう稼いでるんだか知らないが、最近のるうはやたらと羽振りがよくシャンパンやらボトルやらを卸すようになった。


月末に掛でヒーヒー言ってた初月が嘘のように現金払い。

いい金づるでも見つけたのか、なんて安易な考えをしていたが果たしてるうにそんな金持ち客なんかつくのか?なんて疑問も感じる。



…ま、俺には関係ねーけど。

煩わしい事は避けたいから俺も敢えてるうに訊かないしな。



『……ダメ?』

不安そうに、るうがようじの顔を覗き込んでもう一度訊いてきた。



ハッとしたかのようにようじはるうに向かって笑顔を振り撒いた。

『ダメな訳ないだろー!じゃあ仕事終わったら一緒に帰ろうな』



『うんっ』


本当に幸せそうな顔でるうは、目の前に置かれた汗のかいたブランデーグラスに手をかけ美味しそうに呑んでいた。





あー…つーか俺、こいつでたつかな…

ま、たたなかったら呑み過ぎたって事にすればいいか…。




そんな事を考えながらようじは店内をぼんやりと眺めていた。

憂鬱記念日

『るう、俺ら明日で付き合って2ヶ月だな』


ようじはソファーの背もたれによりかかりながら、隣に座るるうに話しかけた。


相変わらず騒がしい店内。

今日は強制指名日というのもあり、ほぼ満卓状態だ。



『覚えててくれたの!?』

るうは嬉しそうに笑う。



――予想通りの反応。

まったく、女ってのは記念日やらに敏感なのが本当に多い。

くだらねぇ…。

ホストになって、マメな男にゃ叶わないって事を学ばされっぱなしだ。



『明日仕事休みだろ?どっか行きたいとこあるか?』

ま、どうせこいつもお台場かディズニーランドとか言うんだろうけど。




少し下を向いて黙りこんだ後、るうは 言った。


『あたしの家でゆっくりしたいな、、ダメかな…』





…家?

つー事は…あれか。


そろそろあたしを抱いてって意思表示か。


…まぁ、やらずにここまでの額を引っ張れたんだからまぁ妥当か。





そんな事を考えながらようじは自分達の目の前にあるテーブルの上に並ぶ飾りボトルを、何気なく眺めた。