伊岡瞬「白い闇の獣」
久しぶりに伊岡瞬さんの世界に浸りました。
まさに表紙帯に書かれている“伊岡ワールドの真髄”ですね。
おもしろかったです。
もちろん笑えるおもしろさではなく。
著者があとがきで
“少年法の不備”や“法改正の是非”を訴えることが主テーマではない。
とはいえ、太い柱の1本ではある。
と書かれている通り、「少年法」について考えさせられました。
2000年に改正少年法が成立し、翌2001年に施行されその後も何度か改正されましたが、それまではどんなに惨虐な加害者も年齢により護られたのです。
被害者ではなく加害者が。
今は法改正やネットの影響でそこまで護られないだろうけれど、逆に飲食店での迷惑行為などは徹底的に晒されていると思います。
凶悪犯罪者よりも。
例えば
回転寿司店で舐め舐めした男子高校生(現在は退学)はお店から損害賠償請求されますよね。
では、子供を無惨に男子高校生に殺された遺族は、損害賠償請求できるのでしょうか?
答えはできません。
なぜなら少年法により加害者が護られているから。
まず警察からは犯人の情報を一切知らされないのです。
※改正された今は、14才以上であれば刑事裁判にかけることができます(これを「逆送」という)が、凶悪事件でも、逆送される率は1割にも満たないそうです。
そのため民事裁判を起こさなければならない
民事裁判を起こすには時間とお金が必要です。
そして勝訴したとしても、命とは引き換えにならない額なのです。
まさに「死人に口なし」ですよね。
そしてもし訴えられた加害少年の保護者が自己破産したら。。
それだけではなく、子供の命を金で解決するのか!と、悪魔のようなことを言う人間も必ずいます。
公正世界仮説的な、被害者とその遺族を誹謗中傷する人間もいるのです。
「この世界に神の慈悲などない。ただ、真っ白な闇が広がっているばかりだ。」
この作品も忘れられないものになりました。
ただ悲しみだけではなく希望もあり、、
この世界に慈悲はないかもしれませんが、希望はあると、強く思いました。
選挙応援
ここでは隠しましたが現実では堂々と応援しています。
読んでくれてありがとう