ライオンがイルカに協力を求めましたが・・・。
ライオンが海岸を散歩していると、イルカが水から頭を出しているのが見えました。
「やあ、イルカくん。どうだね、ぼくと同盟(どうめい)を結ばないか?」
と、ライオンは話しかけました。
「何しろ、きみは海の動物の王さまだし、ぼくは陸の動物の王さまだから、我々が仲良しになって同盟を結ぶのは、実に良い事だと思うのだが」
イルカは喜んで、賛成しました。
さて、このライオンは、ずっと前から野生のウシと戦争をしていたので、
ある時イルカに応援(おうえん)を頼みました。
イルカは水から出てライオンの応援をしようと思いましたが、イルカは海の動物なので、どうしても陸へ出る事が出来ません。
「ひどいじゃないか、味方を裏切るなんて」
と、ライオンはイルカをなじりました。
するとイルカは、
「ぼくを責めたって駄目だよ。生まれつき海で暮らす様になっているのだから、どう頑張っても、陸を歩く事は出来ないのさ」
「しかし、ぼくと同盟を結んだだろ。ぼくなら同盟を結んだ味方を裏切ったりしないぞ」
「ああ、そうだね。ならきみは、ぼくたちがクジラと戦争するときは、海に飛込んでくれるんだね」
「そっ、それは・・・・・・」