4月12日 ジャータカ物語・カンチールと巨人 | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、カンチールというかしこくて小さなシカがいました。
 ある日、カンチールが、お友だちのイノシシや、クマや、シカや、トラといっしょに、さかなをとりにでかけました。
 みんなはさかなをたくさんとると、川べりに小屋をたてて、その中にかめをおきました。
 そしてかめの中に、とってきたさかなをしおづけにして、しまっておくことにしました。
 こうしてまいにち、さかなをとってきてはかめに入れました。
 ところがそのうちに、ふしぎなことに気がつきました。
 かめの中のさかなは、さっぱりふえません。
 それどころか、はんたいにヘっていくのです。
「だれかこっそり、ぬすむやつがいるんだ」
と、みんながさわぎたてました。
 そこでみんなが、さかなをとりにいっているあいだ、だれか一人がのこって、ドロボウをつかまえることにきめました。
「よし、ぼくがひきうけた。どんなやつがきたって、このツノでひとつきにしてやる」
と、シカが、この役目をひきうけました。
 そこでみんなは、シカを小屋にのこして、さかなをとりにでかけました。
 シカは、ジッと、まっていました。
 やがて、足音が近づいてきました。
 そいつは、
「だれか、いるか?」
と、声をかけました。
「いるとも」
 こういって、シカがでてみると、そこには見上げるような巨人(きょじん)が立っています。
 巨人は、いいました。
「さかなのにおいがする。それをよこせ。おれは腹がへっているんだ」
「これはみんなのものです。あなたにあげてしまったら、しかられます」
 シカはふるえながら、ことわりました。
「よこさないなら、おまえをくってしまうぞ!」
 シカはビックリして、あわてて、さかなをたべさせました。
 おまけにおみやげに、何匹も持たせてやりました。
 夕方になって、みんなが帰ってきました。
 シカは、きょうのできごとをはなしました。
 すると、イノシシが、
「よし。あしたはおれが番をする。巨人がきたら、このキバでひとつきにしてやる」
 こうして、イノシシがのこりました。
 けれども、みんなが夕方もどってみると、やっばりシカのときとおなじように、巨人にさかなをとられていました。
「だらしのないやつだなあ。こんどはおれさまが見はっていて、巨人がきたら、このするどいツメでかきむしってくれる」
と、クマがいってのこりました。
「こんにちは。だれかいるかね?」
 外で、巨人の声がしました。
「いるとも、なんの用だ?」
と、クマがこたえました。
「さかながほしい。腹がへっているんだ」
「やれないよ」
「それじゃ、おまえをくうぜ」
 クマはビックリして、腰をぬかしてしまいました。
 巨人はさかなをかかえて、でていってしまいました。
 そのつぎの日は、トラが、
「ああ、見ちゃいられん。おれがかみころしてやる」
と、いってのこりました。
 けれども、みんなが夕方もどってみると、やっぱりおなじように、さかなをとられていました。
 これを見て、小さなカンチールは、いかにもこまったようにいいました。
「きみたちに、まかせておいたのでは、いつになってもだめだね。あしたはぼくがのころう」
 あくる日、みんながでかけてしまうと、カンチールはひたいにまっ白いぬのをまいて、ねていました。
 巨人がやってきて、声をかけました。
「だれか、いるかね?」
 カンチールはわざと、くるしそうにハァハァいいながら、
「ああ、いるよ。だれだか、知らないけど、いいとこへ、きてくれた。おはいりよ」
と、いいました。
 巨人は、カンチールがねているのを見ると、たずねました。
「どうした? ばかに、くるしそうだな」
「そ、そうなんだ。あたまが、いたくて、たまらないんだ」
「なんで、いたいんだい?」
「そこの、かめの中を、見てごらん。そのさかなの、においの、ためなんだ。それを、かいだもんだから、病気になったんだ」
 巨人は、かめの中をのぞきこんで、
「うーん、なるほど、くさい」
「ね、そうだろう。気持が、わるくないかい?」
「そういわれると、なんだかへんだ」
「いまに、ひどい病気になるよ。そうなると、たすからないんだ」
「おい、よせよ。なにかくすりはないのかい?」
「くすりは、ない。だけど、ぼくみたいに、頭にきれをまいて、ジッと、横になっていれば、よくなるんだ。やってあげようか」
「たのむ」
 巨人は、カンチールのいうとおり横になりました。
 その頭にカンチールは、グルグルとぬのをまきつけ、その先を小屋のはしらにしばりつけました。
「どうだい、足も、すこし、いたむんじゃないかい?」
「うん。そんな気がする」
 カンチールは、巨人の足にぬのをまきつけ、その中にじょうぶなつなを入れて、小屋のゆかにしばりつけました。
 巨人は、身うごきができなくなったので、あわてておきあがろうとしました。
 けれどもそのときは、からだがすっかり、小屋にくくりつけられてしまっていたのです。
 カンチールは巨人の前にちょこんとすわって、笑っていいました。
「アハハハハハッ。あなたはトラやクマや、力のつよいものには勝てたけれど、ぼくには負けたね」
 そこへ、みんなが帰ってきました。
 そして、このありさまを見て大喜びです。
 よってたかって、ポカリポカリと巨人をなぐりつけました。
 とられたさかなの数だけ、なぐりました。
 その数があまり多かったので、巨人はとうとう、目をまわしてのびてしまいました。

おしまい

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