1月27日 アンデルセン童話・ヒナギク | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

ここは、あるいなかの別荘です。
 家の前には、色あざやかな花ばなが咲く花だんがあり、その回りには芝生(しばふ)がしきつめられていました。
 その芝生にはひっそりと、一本のヒナギクが咲いています。
「ああ、わたしはなんてしあわせなんでしょう」
 ヒナギクはお日さまをからだいっぱいに浴びて、いいかおりを運んでくる風を吸い込んでは、ウットリとヒバリのさえずりに耳をかたむけていました。
「でも」
 ヒナギクはふと、思いました。
「ヒバリはきっと、あの美しい鳴き声を、花だんの花たちに聞かせようとしているんだわ。こんなところに咲いているわたしではなく」
 ところがおどろいたことに、ヒバリは花だんに咲きほこるバラやチューリップには目もくれず、いきなりヒナギクのそばに舞いおりてきたのです。
「なんてかわいい花なんだろう、きみは」
 ヒナギクは、夢ではないかと思いました。
 ヒバリはヒナギクにキスをすると、また青空へ舞いあがっていきました。
 花だんの花たちはそのようすを、いまいましそうにながめていました。
 さて、つぎの朝のことです。
 ヒナギクが、いつものように花びらをお日さまにさしのべたとき、ヒバリの歌声を耳にしました。
 けれど、その声はきのうと違って、とても悲しげでした。
 ヒバリは人間につかまって、カゴの中にとじこめられてしまったのです。
 ヒナギクはどうにかして、ヒバリを救い出してあげたいと思いました。
 でも、1本の草にはどうすることもできません。
 そのとき、男の子が二人、家から出てきました。
「ここの芝を切りとって、ヒバリのカゴにしいてやろうよ」
 男の子たちはそういうなり、ヒナギクもろとも、回りの芝をほりおこすと、家の中ヘ持ちこんでいきました。
 こうしてヒナギクは、あこがれのヒバリとおなじカゴに入ることができましたが、カゴの中には水がなくて、ヒバリは今にも死にそうでした。
「かわいそうなヒナギク。きみは広びろした世界の身がわりに、こんな所に植えかえられて。でも、ぼくの心はそんなことではなぐさめられないのさ」
 まもなくヒバリが死んでしまうと、人間たちは涙を流し悲しがり、赤い箱に死体を入れて、花びらで回りをかざって土の中にうめました。
 ヒバリのことをだれよりも思いやっていたヒナギクは、一しずくの水もやらなかった人間が、死んだあとで悲しむようすを見て、とても腹が立ちましたが、そのヒナギクも、まもなく道ばたのゴミにされてしまいました。
 それから、だれひとりヒナギクのことを思い出す者はありませんでした。

おしまい


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