1月18日 アンデルセン童話・お茶のポット | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

「こんにちわ。
 私はお茶のポットです。
 私は陶器(とうき)で出来ていますのよ。
 注ぎ口は、細くて長くてすてきでしょう。
 いつでしたか、どなたかがバレリーナのうでのようと、ほめてくださいましたわ。
 とってのはばの広さは、どう思いまして?
 何と申しましても、陶器は私のように上品(じょうひん)で、しかもおしゃれでなくては。
 何しろ私は、一流(いちりゅう)の職人(しょくにん)さんが、それはそれはていねいに作ってくださいましたのよ」
 お屋敷の台所で、お茶のポットはいつもじまんしていました。
 でも聞かされるクリーム入れやさとう入れは、ほめるよりも、もっと別の事をよく言いました。
「ところで、ポットさんのフタはどうされました?」
 その事を言われると、ポットはだまってしまいます。
 フタは前に一度こわされてつぎはぎにされ、つぎ目があるのです。
「そうね。
 誰でも悪いところに、目が行くものよね。
 でも何と言われても、私はテーブルの上の女王よ。
 だって、のどがかわいている人間を、助けてあげることが出来るんですもの。
 この注ぎ口が、女王のしょうこよ。
 クリーム入れもさとう入れも、言ってみれば家来じゃないの」

 そんな、ある日の事。
 食事の時に誰かがポットを持ちあげたひょうしに、床に落としてしまったのです。
 ポットは床で音をたてて、コナゴナになってしまいました。

「それから私は、貧しい家の人にもらわれて行きましたの。
 そこで土を入れられ、球根(きゅうこん)をうめられましたわ。
 私は、うれしく思いました。
 なぜって、球根は私の体の中でグングンと元気に育ち、芽(め)を出したのです。
 そして朝をむかえるたびに大きくなり、ある朝、見事な花が咲きましたの。
 花は、娘のようなもの。
 まあ、お礼はもうしてくれませんでしたが、私は幸福でしたわ。
 家の人たちは花を見て、その美しさをほめてくれました。
 誰かを生かすために自分の命を使うって、うれしいことです。
 そのとき初めて、そう思いました。
 でも、家の人たちは『こんなきれいな花は、もっとすてきな植木ばちに植えた方がいいね』と、花を連れて行き、私を庭のすみに放り投げましたの。
 でも、私をかわいそうなどと思わないでくださいね。
 ええ、私には思い出が、たくさんあるのですから。
 これだけは誰にもこわしたり、放り投げたり出来ませんのよ」

おしまい

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