11月29日 イタリアの昔話☆ディエロの留守番☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、ある村に、ディエロという若者がいました。
 ある日のこと、町へ出かけることになったお母さんが、ディエロにいいました。
「ディエロや、ニワトリが小屋から出ないように、ちゃんと見はっていておくれ。そうしないと、タマゴをかえさないからね」
「うん、見はっているよ」
「それから、とだなの中のツボには、どくがはいっているんだからね。うっかりなめたら死んでしまうよ」
 ツボの中にはいっているのはどくなんかではなく、本当はおいしいジャムだったのですが、るすのあいだにディエロがなめてしまうといけないので、お母さんはそういったのです。
「わかったよ。なめやしないよ」
 ディエロがそうこたえると、お母さんはあんしんして出かけていきました。
 そのあとディエロは、いいつけられたとおり、ニワトリ小屋をジッと見はっていました。
 でもそのうちに、ディエロはがまんできないほどねむくなってきました。
 そしていつのまにか、ニワトリ小屋によりかかって、ウトウトとねむりこんでしまったのです。
 どれくらいすぎてからか、ディエロがふと目をさますと、ニワトリが小屋から出て、にわをあるきまわっているではありませんか。
「たいへんだ! こらっ、はいれ、はいれ」
 ディエロはあわてておっかけまわしましたが、ニワトリはにげまわって、小屋へはいろうとしません。
「もう、おこったぞ!」
 すっかりはらをたてたディエロは、ぼうきれをひろいあげると、それをニワトリになげつけました。
「クー、ククウ・・・」
 なんと、ニワトリはひっくりかえると、そのまましんでしまったのです。
「たっ、たいへんだー! ニワトリがしんでしまったぞ! どうしよう・・・」
 ディエロはしばらく、かんがえこんでいましたが、
「そうだ! おれがニワトリのかわりにタマゴをあたためてやろう!」
 ディエロは小屋へはいると、ニワトリのまねをしてタマゴの上にすわりました。
 すると、
「グシャ、グシャグシャ」
と、タマゴはみんなつぶれてしまったのです。
「ああっ! タマゴがグシャグシャだ! お母さんがかえってきたら、どんなにしかられるだろう!」
 ディエロは、大声をあげてなきだしてしまいました。
 でもあんまりないたので、おなかがすいてきました。
 そこでニワトリのはねをむしりとって、だんろの火でやいてたべることにしました。
「そうだ! 食事のときはブドウ酒もいるぞ」
 ディエロはブドウ酒がおいてある地下室へおりていき、タルのブドウ酒をツボにいれはじめました。
 すると上のへやで、ドタバタと、さわがしい音がします。
「なんだろう? だれもいないはずなのに」
 ふしぎにおもって、ディエロがへやへかけもどってみますと、なんと二匹のネコが、ニワトリのとりあいをしているではありませんか。
「こらあっ、ドロボウネコめ!」
 ディエロはネコをおっぱらい、やっとのことでニワトリをとりかえしました。
「よしよし、これで大丈夫だ。・・・ああ! ブドウ酒のタルのせんを開けたままだった!」
 ディエロがあわてて地下室にもどりましたが、ブドウ酒はすっかりながれでてしまっていたのです。
「どうしょう! お母さんがかえってきたら、どんなにしかられるだろう! いくらおわびをいっても、ゆるしてはくれないだろうな。・・・いっそ、そのまえに死んでしまったほうがいい。・・・でもどうやって、死ねばいいのだろう?」
 そこでディエロは、とだなの中のツボにはどくがはいっていると、お母さんにいわれたことをおもいだしました。
 ディエロはとだなからツボをとりだすと、中に手をつっこんでそのどくをなめました。
「あれ? このどくは、あまくておいしいぞ」
 ディエロはむちゅうになって、ツボの中のジャムをすっかりなめてしまいました。
 すると、なんだかねむくなってきました。
 ディエロは、どくがきいてきて、もうすぐ死ぬのだとおもいました。
 そこで、おしいれの中にもぐりこんでよこになり、そのままグッスリとねむってしまったのです。
 お母さんがかえってきたのは、それからまもなくのことです。
「ディエロ。ちゃんと、留守番していたかい?」
 そう声をかけようとして、あたりを見まわしたお母さんはビックリ。
 とり小屋は空っぽで、タマゴはみんなつぶれています。
 地下室におりてみると、ゆかがブドウ酒で水びたしです。
「これはどうしたことだい! ディエロや、どこにいるの?」
 お母さんのさけび声をきいて、ディエロがおしいれから出てきました。
「ああ、お母さん。おれはもう死んでしまったんだよ。おれはもう、お母さんとはなしもできなくなったんだよ」
 ディエロはからになったジャムのツボをかかえて、シクシクとなき声をあげます。
「・・・・・・」
 お母さんのほうは、あまりのことにあきれかえり、もうディエロをしかる声もでなくなっていました。

おしまい

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