11月28日 中国の昔話☆クジャクの舞☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、シプソンパンナというところに、わかい狩人がいました。
 ある日のこと、山おくへドンドン歩いていくうちに、道にまよってしまいました。
 ふと見ると、むこうに光る水面が見えました。
 近よって見ると、しずかな湖でした。
 そのとき、バタバタとはばたきの音がしました。
 きれいなクジャクが、ぜんぶで七羽、岸辺におりてきました。
 クジャクたちはきていたクジャクの羽衣を、さっとぬぎすてました。
 すると中から、目のさめるような美しい娘たちがあらわれました。
 娘たちは湖の中で、たのしそうに泳ぎはじめました。
 水あびがすむと、また羽衣をつけて、湖の上を舞いました。
 中でも、いちばん年下の娘は、とくべつ上手に舞いました。
 狩人は、その娘が好きになりました。
 けれどもそれは、ほんのひとときのことで、娘たちはまもなくクジャクのすがたにもどって、とんでいってしまったのです。
 狩人はしばらくのあいだは、夢でも見ているような気がして、動くこともできませんでした。
 あの、一番下の娘のことが、どうしてもわすれられません。
 日がくれてゆくのもわすれて、狩人はジッと考えこんでいました。
「これ、これ、どうしたのだね?」
 見ると、白いひげをはやしたおじいさんが立っています。
「はい。さっきここへおりてきた娘さんに、もう一度あいたいのです」
「あすになったら、またあえよう」
「そのとき、ひきとめることはできませんか?」
「そうじゃなあ・・・」
 おじいさんは、しばらく考えていましたが、
「では、クジャクが羽衣をぬいだとき、その中の一枚をこっそりかくしておきなさい」
と、教えてくれました。
 次の日の朝、東の空がキラリと光って、きれいなクジャクたちがとんできました。
 クジャクたちは羽衣をぬぐと、そばの木の枝にそれをかけて、湖にはいっていきました。
 そのすきに狩人はそっと近よって、一番下の娘の羽衣をかくしてしまいました。
 やがて娘たちが、湖からあがってきました。
 みんなは羽衣をつけましたが、一番下の娘の羽衣だけありません。
 娘は、しくしくなきだしました。
 狩人は木のかげからこれを見て、かわいそうになりました。
 そして思わず、大きな声をだして、
「ここにあります!」
と、さけびました。
 その声におどろいて、ほかの娘たちはクジャクになって、とび立っていきました。
 のこされた娘は、狩人にたのみました。
「その羽衣をかえしてください。それがないと、クジャク山へ帰ることができません」
 すると狩人は、思いきっていいました。
「娘さん。わたしのお嫁さんになってください。そうすれば、この羽衣をかえしてあげます」
 娘は、狩人をながめました。
 見れば、りっぱな若者です。
 そこで、お嫁さんになることを承知したのです。
 娘はクジャク山の王さまの、七番目の王女で、クジャク姫という名まえでした。
 狩人の家では、年とったおじいさんが喜んで二人をむかえました。
 狩人が、美しいクジャク姫をお嫁さんにしたといううわさは、まもなく王さまの耳にもつたわりました。
 王さまはなんとかして、クジャク姫を自分のものにしたいと思いました。
 王さまには、悪ぢえのはたらくうらない師がついていました。
 うらない師はいいました。
「いくさをおはじめなさいまし。あの狩人を兵隊にだして、敵と戦わせるのです。そのあいだに、クジャク姫をうばいとればよろしいでしょう」
「おお、それがいい」
 王さまはさっそく、となりの国にいくさをしかけました。
 そして狩人を、兵隊としてまっさきによびだしました。
 狩人は、おじいさんやクジャク姫にわかれをつげて、シプソンパンナの国ざかいヘ出発しました。
 それから王さまは、国の人びとを広場に集めました。
「いま、わが国はとなりの国にせめられている。戦いに勝つか負けるか、ひとつ、うらない師にうらなってもらおう」
と、いって、王さまはうらない師をよびました。
 うらない師は呪文(じゅもん)をとなえていましたが、やがて頭をあげて、
「王さま、たいへんでございます。この国には魔女がおります。その魔女をころさないと、こんどのいくさには負けてしまいます」
と、いいました。
 王さまはおどろいたふりをして、たずねました。
「魔女だと。いったい、どこにいるのだ?」
「ほれ、その人ごみの中におります。狩人の妻がそうです。魔女がばけているのです」
と、うらない師は、クジャク姫を指さしていいました。
 たちまち王さまのけらいが、クジャク姫をつかまえようとしました。
 姫はなきながらいいました。
「わたくしは、魔女ではありません。どうして、こんなひどいことをなさるのですか!」
 けれども王さまは、聞きません。
「おまえは魔女だ。これからろうやにとじこめる。いくさに負けそうになったら、おまえの命をもらうぞ」
と、いいました。
 けらいが姫をしばろうとしたとき、姫がたのみました。
「おねがいです。生きているうちに一度だけ、羽衣をつけて舞わせてください」
 王さまは、そのねがいをゆるしました。
 おじいさんが家にかけていって、羽衣を持ってきました。
 クジャク姫はそれをきると、しずかに舞いはじめました。
 どこからともなく、かおりのよい風がふいてきました。
 きよらかなしらべが、風に乗って流れてきます。
 人びとはクジャク姫の美しい舞いすがたに、ウットリと見とれていました。
 なわを持ったけらいも、いつのまにかなわをはなしました。
 わるい心の人も、きよらかな心になっていきました。
 姫は舞いながら、しだいに高く高くあがっていきました。
 いつのまにか、姫はクジャクのすがたにかわっていました。
 人びとが気がついたときには、クジャク姫は、空のずっとむこうにとびさっていました。
 クジャク姫は、狩人にはじめてあった湖のほとりに舞いおりました。
 そこへ、白いひげをはやしたおじいさんがあらわれました。
 姫は、おじいさんに自分の金の腕輪をわたして、
「あの方がここへきましたら、これをわたしてください」
と、たのみました。
 そして、なきながらクジャク山へとんでいきました。
 狩人は、いくさに勝って帰ってきました。
 ところが家に帰ってみると、クジャク姫がいません。
 おじいさんはなみだをふきながら、わけをはなしました。
 それを聞くと、狩人はすぐさま姫のあとを追いました。
 姫にあった湖のほとりにきてみると、白いひげのおじいさんがまっていました。
「姫の国へいくのはあきらめなさい。人間の力では、いけないのだから。これを姫だと思って、持って帰りなさい」
 こういっておじいさんは、金の腕輪をくれました。
 けれども狩人は、どうしてもあきらめることができません。
「どんなめにあってもかまいません。わたしは姫にあいたいのです。そしてもう一度、つれてきたいのです」
「そうか、それほどいうのなら、これをわたそう」
 おじいさんは狩人に、魔法の弓と矢をくれました。
「とちゅうに、三つのきけんなところがある。この弓と矢で乗りこえていきなさい」
 狩人は、ドンドン、ドンドン歩いていきました。
 もう、どのくらい歩いたかわかりません。
 ふいに、ガラガラという音がして、目の前の山から、大きな岩がくずれ落ちてきました。
 狩人は、おじいさんからもらった弓に矢をつがえました。
 そして落ちてくる岩をめがけて、ピューッ! と、矢をはなちました。
 矢は岩につきささって、岩が落ちてくるのがとまりました。
 こんどは、大きな川がありました。
 おどろいたことに、川はグラグラと、にえたっているのです。
 これでは、泳いでわたることもできません。
 狩人は、おじいさんのことばを思いだしました。
(この矢を、射てみよう)
 狩人は目をつぶって、ピューッと、川の中に矢をはなちました。
 すると、壁のような大波がわきおこったかと思うと、まっ赤なリュウがおどりでてきたのです。
「くるしい! 矢をぬいてくれ! おまえのいうことは、なんでも聞くから!」
「じゃあ、むこう岸までわたしてくれ」
 リュウがうなづいたので、狩人はリュウのからだから矢をぬきとってやりました。
 まっ赤なリュウは、しっぽをこちらの岸につけ、頭をむこう岸につけました。
 これで、橋ができました。
 狩人が、その橋をわたってしばらくすすむと、ひろいさばくにでました。
 そのさばくに、一歩足をふみいれたとたん、
「あっ!」
と、いって、とびあがりました。
 さばくの砂が焼けついて、チロチロとほのおまであげているのです。
 これでは、空でもとんでいくほかはありません。
 そこで狩人は目をつぶって、空にむかって矢をはなちました。
「ガア! ガア!」
 空から、バタバタと大きな鳥が二羽おりてきました。
 二羽のうちの一羽のつばさに、さっきはなった矢がつきささっています。
「狩人さん。このつばさの矢をぬいてください」
「わたしたちはクジャク山へいくところです。妻を、たすけてやってください」
 この二羽は、オオトリの夫婦でした。
「それでは、わたしを乗せていってくれ」
「ええ、いいですとも。あなたを一人乗せるぐらい、なんでもありませんから」
 狩人が矢をぬいてやると、オオトリは狩人を乗せてくれました。
 それから空高く舞いあがって、とうとうクジャク山につきました。
 いずみのほとりで、一人の娘が水をくんでいました。
「クジャク姫を、知りませんか?」
と、狩人が聞きました。
「あら、このお水をクジャク姫さまのところヘ、くんでいくところですのよ」
と、娘がこたえました。
(それはちょうどいい)
 狩人は、腕輪をこっそり、その水おけの中にいれました。
 娘はなにも知らずに、水をくんで帰っていきました。
 クジャク姫がふと、水おけの中を見ると、自分の腕輪が光っています。
「あの方が、きてくださったのだわ!」
 姫がむちゅうでかけだすと、いずみのほとりに狩人が立っていました。
 二人はしっかりとだきあって、再会を心から喜びました。
 それから狩人は姫をつれて帰って、あの湖のほとりで、おじいさんと三人でなかよくくらしました。

おしまい

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