10月24日 フィリピンの昔話☆ホタルとオナガザル☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、フィリピンの島には、『夕方(ゆうがた)』というものがありませんでした。
 いままでお日さまが、カンカンにてりつけていたかと思うと、たちまちまっくらな夜になってしまうのです。
 くらくなると、ホタルたちがチラチラとまたたきながらとびまわります。
 ある晩のこと、一匹のホタルが、友だちのところへ遊びにでかけました。
 ホタルは自分の小さなあかりで道をてらしながら、シュロ(→ヤシ科シュロ属の常緑高木の総称)の木のあいだをとんでいきました。
 それを、高い木にのぼっていたオナガザルが見つけました。
 オナガザルはホタルをよびとめて、からかいます。
「もしもし、ホタルさん。どうしてわざわざ、あかりなんかつけているんだね?」
「うるさいカを、追いはらうためですよ」
と、ホタルはこたえました。
「なーるほど」
 オナガザルは、ホタルを鼻で笑います。
「つまりあんたは、ちっぽけなカが、おそろしいってわけだな。・・・よわむしだね」
「よわむしとはちがいます。カなんかおそろしくない。ただ、ほかのものにじゃまされたくないだけですよ」
 オナガザルは、また鼻で笑いました。
「いやいや。よわむしにきまっている。あかりをつけているのは、カがおそろしいからさ」
「・・・・・・」
 ホタルは、そのままだまっていってしまいました。
 オナガザルは、あいてにされなかったのでおもしろくありません。
 あくる朝、あちこちのサルのところへでかけていって、ホタルのことをふれまわりました。
「ホタルはすごく、よわむしだぞ」
「まったく、あきれたよわむしだ」
 サルたちはみんなで、ホタルをバカにして笑いました。
 それを聞いたホタルは、オナガザルをこらしめてやろうと思い、オナガザルのところへとんでいきました。
 オナガザルは、ねむっていました。
 ホタルは自分のあかりを、オナガザルの鼻さきにつきつけました。
 オナガザルは、ビックリして目をさまします。
「なぜ、ぼくのことをよわむしだなんてふれ歩いたんだ?」
と、ホタルはきびしくたずねました。
「あしたの朝、シュロの林まできてくれ。ほかの鳥やけものにもきてもらって、ぼくがよわむしかよわむしでないか見てもらう」
「ハッハッハッハッ」
 オナガザルは、大口あけて笑いだしました。
「おまえさん、おれと勝負しようというのかい?」
「そうだとも」
 ホタルは、きっぱりとこたえました。
「いったい、だれにたすけてもらうつもりだい? 一人じゃ、とうていかないっこないだろう」
 オナガザルは、からかうように聞きました。
「一人だとも!」
「一人だって?」
 オナガザルは、あきれました。
「そう、一人だ。もっとも、こわいのならやめてやってもいいが」
「おもしろい。やろうじゃないか!」
と、オナガザルはさけびました。
「だが、ことわっておくが、こっちは一人じゃいかないぞ。仲間を集めていくからな。それもすごくつよいやつばかりをな」
 ホタルが帰ると、オナガザルは友だちのところをつぎつぎとたずねて、
「あしたの朝、こん棒をもってシュロの林にきてくれ」
と、たのみました。
 朝がきて、お日さまがあかるくてらしはじめました。
 ホタルはおちついて、戦いのはじまるのをまっていました。
 オナガザルが、おおぜいのサルをつれてやってきました。
 そしてホタルを見つけると、オナガザルが先頭にたって、こん棒をふりまわしながらおそいかかってきました。
 ホタルはスイーッととんで、オナガザルの鼻先へとまりました。
「このホタルめっ!」
 そばにいたサルが、ホタルめがけて力いっぱいこん棒をうちおろします。
 ところがホタルは、それよりはやくヒョイととびのきました。
 こん棒はオナガザルの鼻にあたり、オナガザルはギャン! とさけんでたおれました。
 つぎにホタルは、二匹目のサルの鼻にとまりました。
 三匹目のサルが、こん棒をふりおろしますが、またもやホタルは、ヒョイとにげて、こん棒は二匹目のサルの鼻にあたって、これものびてしまいました。
 ホタルはつぎからつぎへと、サルの鼻さきにとびうつりました。
 サルのほうはホタルをねらっては、おたがいの鼻をなぐりあい、とうとう一匹のこらずのびてしまいました。
 かしこくていさましいホタルは、大きなサルたちに勝ったのです。
「さあ、これでもぼくはよわむしで、カをおそれているという気かい?」
 ホタルは勝ちほこってさけぶと、地面にたおれているサルの上をクルクルとまわって、ひきあげていきました。
 サルたちははずかしくて、赤い顔がますます赤くなりました。

おしまい


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