6月30日 ロシアの昔話☆母親と死んだ子ども☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、あるところに、大切な息子を亡くした母親がいました。

 母親は、毎日毎日、泣いてばかりいました。

「ああ、もう一度、あの子に会いたいわ。会えるのなら、たとえ死んだ姿のままでもいいから」

 それを聞いた村人は、母親に言いました。

「それなら、夜中に教会へ行ってごらんなさい。夜中の教会には死んだ人たちが集まってくるから、きっと息子さんにも会えるだろう。だけど、もしもの時の為に、おんどりを一羽連れて行くといい」

 そこで母親は言われた通り、おんどりを連れて教会のそばで待っていました。

 やがて夜中になると、教会の側の墓の前に死んだ人たち現れました。

 母親が息子の墓を見てみると、

「あ、あの子もいるわ」

 喜んだ母親は、飛び出して行こうとしました。

 けれどよく見ると、息子はいつの間にか、今にも水がこぼれそうなおけを、重そうにかかえているのです。

 実は、おけの中の水は、母親が息子のために流した涙なのです。

 母親は大勢の死んだ人たちと一緒になって、息子が、だんだん自分の方へ近づいて来ると、何だかとても恐ろしくなってきました。

「いや! 来ないで!」

 とうとう母親は、家の方へと逃げ出しました。

 ところが息子は、母親を見つけて、どんどん追いかけてきます。

 母親は着ていた服をあわてて脱ぐと、息子の方へ放り投げました。

 すると息子はそれを拾って、ビリビリと引き裂いてしまったではありませんか。

 母親は、ますます怖くなりました。

 そして、ようやく家の門までたどり着いた時、連れていたおんどりが鳴きました。

「コケコッコー!」

 すると息子は、その場にばったりと倒れてしまい、やがて朝日が当たると溶ける様に消えてしまいました。



 この国では、子どもをなくした母親が、いつまでも嘆き悲しんでいると、あの世へ行った子どもは成仏できず、とても苦しい思いをすると言われています。

おしまい



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