6月15日 ロシアの昔話☆老人と三人の若者☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、あるところに、一人のおじいさんが杉の苗木を植えていました。
「早く、立派な木になれよ」
 そんな、木に語りかけるおじいさんを見て、三人の若者が笑いました。
「はん。もうすぐ、この世からおさらばしようという年になって、そんな事したって無駄さ。木が大きくなる前に、あんたの方がくたばっちまうさ」
「そうさ。それともあんたは、あと百年も二百年も生きるつもりかい?」
「あははは。そうやって木を植えるより、自分の墓を掘った方が利口だぜ」
 それを聞いたおじいさんは、若者に腹を立てるどころか、静かな微笑みを浮かべて答えました。
「なあに、わしは子どもの頃から、働く事にはなれておる。いくつになっても、働く事は楽しいもんじゃ。それに人間というものは、自分の為にだけ働くのではないよ。そりゃ、この苗木が大木になるまでは、わしは生きておらんじゃろうが、やがてこの木の下で孫たちが遊ぶようになると思うと、それだけでも、わしは幸せなんじゃ」
 おじいさんは苗木を植え続けながら、さらに話を続けました。
「あんたたちは若くて、これから何でも出来るだろう。だがな、死というものは、そんな事には気をつかってくれん。わしはこの年までに、何人も何人も、若くてきれいな娘さんや、たくましい青年を墓場に見送ったことか。生きているものは、年の順番に死んでいくのではない。だれが先に死んで、だれが長い生きするかは、だれにもわからんのじゃ。だからこそ、若者も年寄りも、今を精一杯生きなければならん。働ける間は、働かねばならん。それが一番大事な事だと、わしは思うよ」
 この老人の言った、若者が老人よりも先に死ぬ事もあるといった言葉は、それから少しして本当になりました。
 三人の若者のうち、一人は船で商売に出かけましたが、途中でひどい嵐に会って、船もろとも海に沈んでしまったのです。
 もう一人の若者は外国へ行き、仕事に成功して贅沢な暮らしをしましたが、そのために体を悪くして、死んでしまったのです。
 そして三人目の若者は、夏の暑い日に冷たい物を飲みすぎて病気になり、さらに腕の悪い医者の治療によって、助かる命をなくしたのです。
 彼らの死を知ったおじいさんは、
「かわいそうに。せめてお前たちの分も、木を植えてやろうな」
と、目にいっぱいの涙を浮かべながら、新しい三本の苗木を植えました。

 どんなに若くて元気でも、人間はいつ死ぬかわかりません。
 若いからと言ってだらしない生活をせずに、毎日を精一杯生きてください。

おしまい

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