1月30日 岐阜県の民話☆風邪を治す文弥の松(ぶんやのまつ)☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、美濃の国(みのうのくに→岐阜県)に、文弥(ぶんや)と言う名前の、とても親孝行な若者がいました。
 この文弥は大変なお酒好きでしたが、お母さんが病気になってからは大好きなお酒をがまんして、お母さんの薬をかかさず買うようになったのです。
 朝早くから夜遅くまで働く文弥を見て、お母さんはいつも言うのです。
「すまないね。わたしが病気なばっかりに、お前に好きな酒を飲ませてやることが出来ず」
 しかし文弥は、ニッコリ笑って、
「そんな事、気にせんでいいよ。それよりほら、そろそろ薬を飲む時間だぞ」
と、薬を飲む用意をしました。
 でも、それからまもなく、お母さんは文弥の看病のかいもなく死んでしまったのです。

 お母さんに死なれて、すっかり気持ちがゆるんだ文弥は、今まで無理して働いてきたつけが回って、ひどい高熱を出して寝込んでしまったなのです。
 そして高熱にうなされながら、
「ああ、酒が飲みたいな」
と、つぶやきました。
 すると、まくら元に真っ白なひげを生やしたおじいさんが現われて、
「文弥よ。
 お前はそんなに、酒が飲みたいのか?
 しかしどうやら、お前の命も長くはないようじゃ。
 せめてお前が死んだら、村人が墓に酒を持ってお参りに来るようにしてやるぞ。
 だからお前は、そのお礼に酒を持ってきた人たちの風邪を治してやるといい」
 そう言うと、おじいさんは消えてしまいました。
 それを聞いた文弥は、
「ああ、たとえ死んでからでも、酒を飲ませてくれるのなら約束する」
と、にっこり笑いながら、安らかに死んだのです。

 さて、文弥が死んでしまうと村人たちは協力して、文弥のお墓を建ててやりました。
 とは言っても、みんな貧乏なので立派な石の墓など建てられず、石のかわりに一本の松の木を植えただけですが。

 その日の夜、あの時のひげのおじいさんが村の庄屋の夢枕に現れて、
『文弥の墓に酒を供えたら、風邪を治してくれるだろう』
と、教えてくれたのです。
 それからは風邪をひいた多くの人が、文弥の墓の松の木にお酒を供えるようになりました。
 そしてお酒を供えた多くの人の風邪が本当に治ったので、村人はこの松を『文弥の松』とよんで大切にしたそうです。

おしまい
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