1月21日 日本の民話☆天の川の鮎☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、ある殿さまの家来に、忍術使いとして有名な侍がいました。
 この侍は忍術の他にも不思議な術を使い、どんな城でも忍び込む事出来たそうです。

 ある冬の事、侍の家に仲間がやってきて、酒を酌み交わしていると侍が尋ねました。
「ところでお主たち、天の川の鮎を食べた事があるか? あれはうまいぞ」
「天の川の鮎? 何を言っているんだ。お主がいかに忍術の名人といっても、天の川まで行く事は出来ないだろう」
「そうとも、ほらを吹くのもいいかげんにしろ」
 仲間たちが口々に言うと、侍は真面目な顔で言いました。
「それなら、今日は特別に天の川の鮎をごちそうしよう。今ここで捕ってやるから、よく見ていろ」
 侍は召使いの男に、細引きを何本も持ってこさせました。
 そしてその細引きを結び合わせて長く伸ばすと、庭へ出ました。
「まさか、本当に天の川の鮎を?」
 仲間たちも、半信半疑で庭へ出ました。
 すると侍は、細引きのはしを右手に持って、
「えいっ!」
と、叫ぶなり、その細引きを空に向かって投げつけました。
 すると細引きは矢の様に空へ登って、やがて一本の竿の様になりました。
 侍はその細引きに飛びつくと、すうっと空へ登り始めたのです。
 侍の体は、たちまち豆粒ぐらいになって空に消えました。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
 あまりの不思議さに、仲間たちは声も出ません。
 仲間たちが空を見上げたまま突っ立っていると、しばらくたって雲の間から侍が現れて、細引きをつかんだまま風の様に舞い降りて来ました。
 そして庭に降り立つと細引きを一気にたぐりよせて、召使いにかごを持って来させました。
「さあ、捕ってきたぞ」
  侍は、たもとから次々と鮎を取り出すと、かごの中に入れました。
 どれも大きく立派な鮎で、ぴちぴちと勢いよくはねています。
「本当に、天の川の鮎だ」
「何という、不思議な男よ」
 仲間たちは、今さらの様にこの侍の術に舌を巻きました。
 やがて塩焼きになって出てきた鮎は、この世の物とも思えないほどのおいしさで、
「さすがは天の川の鮎、こんなうまい鮎は、食べたことがない」
と、仲間たちを喜ばせたそうです。

おしまい
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