1月12日 日本の昔話☆化け物屋敷をもらった侍☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、武芸にも学問にもすぐれた浪人が、殿さまに召し抱えられて屋敷をもらいうけました。
 でもそれがひどいオンボロ屋敷で、しかも化け物が出るというのです。
 それを聞いた仲間の侍が気の毒がって、
「まったく、とんでもない物をもらったな。どんな奴でも一晩で逃げ出すか、化け物に食い殺されていまうというぞ。なあ、殿さまに屋敷を変えてもらったらどうだ?」
と、すすめました。
 けれど、侍は、
「いやいや、化け物を恐れて屋敷替えを願い出るなんて、武士の恥だ。それよりも、むしろ自分から進んでこういう屋敷に住んでこそ、武士の株があがるというものだ」
と、言って、さっさと屋敷へ出かけていって、荒れ果てた屋敷の修理を始めました。
 そして、
「まずは一晩泊まり、化け物の正体を見届けた上で、引っ越しをしよう」
と、座敷で一人静かに、本を読み始めました。
 するとその夜、
 ズシーン! ズシーン!
と、大きな足音をとどろかせて、身の丈が二丈(にじょう→約六メートル)もある大入道がやってくると、
 ドン! ドン! ドン!
と、乱暴に門を叩いて言いました。
「開けろ! 開けねば、門をぶちこわすぞ!」
 しかし侍は、慌てずに言いました。
「夜中に無礼な! どこのだれか、名を名乗れ!」
「わしがだれか、そんな事は関係ない。開けろといったら開けるのだ。開けないと、ここを蹴破るぞ! お前は刀を持っているようだが、わしの体は刀では切れぬぞ!」
 それを聞いた侍は、
(ふん! 化け物なら門を開けなくとも、自分から入って来ればいいだろうに)
と、思いながらも、これから住む屋敷の門を壊されてはかなわないと、仕方なく門を開けてやりました。
 すると入ってきたのは大入道ではなく、薄汚い身なりをした小さなおじいさんだったのです。
 おじいさんは座敷にあがってあぐらをかくと、身の上話しを始めました。
「やあ、さっきはおどろかしてすまんかったな。わしはこの屋敷の土地神じゃが、粗末にされ続けて、今ではごらんのありさまだ。そこで腹いせに、住む者をおどかしてきたのだが、しかしお前は、心正しく見所がある」
 ほめられた侍は、少し照れながら言いました。
「いや、それほどではありません。武士として、当然の事です」
「そういうところが、立派なのじゃ。ところで、折り入って頼みがある。実はな、庭のすみにわしのほこらがあるのだが、もうボロボロでな。すまんが大工に頼んで、ちゃんとした物に直してもらいたい」
「ほこらをですか?」
「そうだ。・・・ああ、そうそう、大工に頼む金なら、松の木の根元にうずめてあるぞ。では頼んだぞ」
 土地神のおじいさんはそういうと、すーっと、煙のように消えてしまいました。
 翌朝、侍が松の木の根元を掘ってみると、大判小判がたくさん詰まった箱が出てきました。
 そこで侍は大工をよんで、ほこらを立派に立て直すと、それから化け物は出てきませんでした。
 そしてこの話をきいた殿さまは、
「あっぱれじゃ。お主こそ、武士のほまれである」
と、侍をほめて、たくさんのほうびを与えたということです。

おしまいペタしてね