1月11日 鹿児島県の民話☆大師芋 弘法話☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

南薩地方(なんさつちほう)には、「大師芋(たいしいも)」という芋があります。
 むかしはおいしい芋だったのですが、今ではいくら煮ても煮えない、苦い芋なのだそうです。
 これはその、大師芋にまつわるお話しです。

 むかしむかし、弘法大師という偉いお坊さんが、仏教を広めるために、南薩地方にやって来ました。
 長い旅を続けてきたので、大師はお腹がペコペコです。
 ある農家に立ち寄ると、そこの家でおいしそうな芋をぐらぐら煮ていたので、大師は農家の主人にお願いしました。
「すまんが、その芋を少し恵んで下さらんだろうか」
 ところが家の主人は、長旅で身なりがボロボロの大師を見るなり、眉をひそめて言いました。
「こじき坊主め。お前なんぞにやる芋はひとつもなか」
「そこを何とか。小さなかけらでもいいのです」
「駄目じゃ、駄目じゃ! それにな、こん芋はまだ煮えとらん。食っても苦くて固いだけじゃ」
「・・・そうですか」
 本当は、ちょうどいい具合に煮えた、おいしい芋だったのですが、主人はそう言って大師を追い返したのです。
 さて、しばらくしてから、主人と家の人たちは、芋を食べようと鍋を火からおろしました。
 そして芋を取り出してみると、不思議な事に、ちょうどいい煮え具合のはずの芋が、鍋の中でまっ黒に焦げ付いているのです。
「変だな。ちょうどいい煮え具合のはずじゃが」
 主人は仕方なく、まっ黒に焦げ付いた芋を裏山に捨てました。
 やがてその芋から芽が出て、立派な芋が出来ました。
 しかしその芋は、いくら煮ても煮えない、苦い芋だったのです。
 それからというもの、村の人々はその芋のことを、「大師芋」と呼ぶようになったそうです。

おしまい
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