1月5日 広島県の民話☆大判小判をはき出す狛犬☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、あるところに、心優しい長者がいました。
 でも長者が死んでからは、母親と二人の兄弟が家を守ることになり、長者の跡を兄弟の兄が継いだのですが、その兄がひどいけちで、自分以外の者がご飯を食べるのも嫌だったのです。
 だから、父親の代にはたくさんいた下男や下女を、食べさせるご飯がもったいないという理由で、みんな帰らせてしまいました。
 でも、そうなると家はだんだん貧乏になって行ったので、兄は弟や母親につらく当るようになったのです。
 困った弟は母親を連れて家を飛び出すと、以前、家で下男として働いていた作じいさんを訪ねていきました。
 そして弟は、
「がんばって、お母さんに楽をさせてあげよう」
と、朝から晩まで一生懸命に働いたのです。
 そんな、ある晩の事です。
「これ、起きよ。これ、起きよ」
と、弟を起こす声がします。
 弟が目を覚ますと、何と目の前に金色に光る神さまが現れて、こう言ったのです。
「明日の朝、何か入れ物を持って、金噴き明神の広場へ来なさい」
 そして神さまは、消えてしまいました。
 次の朝、弟は早くに起き出すと、大きなかごを持って金噴き明神の庭へ行ってみました。
 しかし、広場には誰もいません。
(やっぱり、夢だったのかな?)
 弟はそう思って帰ろうとすると、
「これ、ここじゃ。これ、ここじゃ」
と、声が聞こえるのです。
 弟がまわりを見てみると、その声は大きい石の狛犬(こまいぬ)から聞こえてくるのでした。
 弟が狛犬に近づくと、その狛犬が言いました。
「わしの頭を三べんさすって、『金出ろ、金出ろ』と、言ってみろ。そしたら口から金を出してやろう。そしてかごがいっぱいになる前に、もう一度、頭をさするのだ」
 弟は言われた通りに狛犬の口の下にかごを置くと、狛犬の頭を三べんさすって、『金出ろ、金出ろ』と、言ってみました。
 すると狛犬は、大きい口を開いて、
「ウォン!」
と、ひと声吠えると、口からザラザラ、ザラザラと大判小判を吐き出したのです。
 そして弟が、もう一度、狛犬の頭をさすると、狛犬の口がカチッと閉じて、大判小判を吐き出すのをやめたのです。
 喜んだ弟はカゴに一杯の大判小判を家に持って帰ると、母親と作じいさんに今までの事を話しました。
 そして弟は立派な屋敷を建てると、母親と作じいさんに楽をさせてあげました。

 さて、このうわさを聞いた兄が、弟たちの家にやってくると弟に聞きました。
「おい、その金はどこで手に入れたのだ?」
 すると気のいい弟は、大判小判を吐き出す狛犬の事を教えてやりました。
 すると欲深い兄は、大きな大きな四斗樽をかついで狛犬の所へやってくると、弟に聞いた通りにやって、四斗樽一杯の大判小判を手に入れたのです。
 兄は、たちまち大金持ちになったのですが、これで満足する兄ではありません。
「これだけの大判小判が出てくると言うことは、狛犬の腹の中に、もっと多くの大判小判が詰まっているに違いない」
 そこで兄は閉じた狛犬の口を無理矢理開くと、その中に手を入れて中の大判小判を取り出そうとしたのです。
「よし、手の先に大判小判が当たったぞ。もう少し手を伸ばせば、もう少し・・・」
 兄がどんどん手を伸ばしていくと、そのうちに狛犬の目がギロリと兄をにらんで、兄の手が入ったまま大きな口をガチンと閉じてしまったのです。
 びっくりした兄は、何とかして手を引き抜いて家に帰りました。
 そしてふと、大判小判が詰まっている四斗樽を見てみると、その中の大判小判は、いつの間にただの石ころに変わっていたと言うことです。

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