12月4日 追記あり・北海道の民話☆キツネの雨ごい☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、ある村の裏山に、キツネの家族が住んでいました。

 子ギツネがたくさんいるので、お母さんギツネは食べ物探しで大忙しです。

 ある日の事、お母さんギツネがいつものように川岸を歩いていると、向こうから石狩長者と呼ばれる長者がやって来ました。

 長者は捕まえた魚を柳の木の枝にしばって、運んでいる最中でした。

「あら、おいしそうな魚だ事」

 お母さんギツネがそれを見ていると、歩き疲れた長者は木に背中をあずけて、グーグーと昼寝を始めました。

 お母さんギツネは長者に見つからないように、こっそりと柳の木の枝から一匹の魚を抜き取りました。

「こんなにたくさんあるのだから、一匹ぐらいいなくてもわからないわね」

 しかし、お母さんギツネが魚を持ち帰ったあと、目を覚ました長者が魚の数を数え始めたのです。

「ひい、ふう、みい、よお、・・・ありゃ、一匹足りないぞ。さては、誰かがわしの魚を盗んだな。おーい、村にいる神たち、山にいる神たち、わしの魚を盗んだふとどき者に、どうかバチをあててくれー!」

 長者があんまり文句を言うので、困った神さまたちは、お母さんギツネの所へ来て言いました。

「キツネのお母さんよ。困った事をしてくれたな。キツネも神の仲間なのに、なんだって人間の魚を盗んだりしたんだ。おかげで長者から、『はやくバチをあてろ』と、朝も昼も夜も文句が来ているのだ。すまないが、ここから出て行ってもらうよ」

 こうしてキツネの親子は、裏山から追い出されてしまいました。

 さて、追い出されたお母さんギツネは、くやしくてなりません。

「可愛い子どもたちに食べさせる為に、たった一匹とっただけなのに。長者が文句を言ったおかげで、わたしたちは住む家をなくしてしまったわ。ああ、くやしい。こうなれば、あの長者に仕返しをしてやる」

 そこでお母さんギツネは、長者の住む村に行くと、

「雨よ降れ! 雨よ降れ! どんどん降って、石狩の村をめちゃくちゃにしてしまえ!」

と、言いながら、雨ごいをしたのです。

 するとたちまち雲が出て来て、ザーザーと大雨が降り出した。

 お母さんギツネはそれでも止めずに、今度は石狩の長者の家の前に行って、さらに激しく雨ごいをしたのです。

 雨はますます激しくなって、長者の家は、雨水に押し流されそうになりました。

 びっくりして家から出て来た長者は、大雨の原因が雨ごいをしているキツネだとわかり、やっと事の次第に気がついたのです。
「しまった! 魚を盗ったのはキツネの神さまだったのか。そうと知っていれば、あんなに文句を言う事はなかったのに。キツネの神さま、私が悪うございました。あやまりますから、どうかこの雨をやませて下さい! このままでは、石狩の村が全部流されてしまいます!」
 長者があやまったので、お母さんギツネは雨ごいをやめました。
 そして長者はおわびのしるしに、自分が持っている山をキツネの家として差し出したので、それからキツネの親子は平和に暮らすことが出来たそうです。

おしまい
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