10月11日 追記あり 青森県の民話☆ガンの恩返し☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、青森県の津軽半島にある十三湖(じゅうさんこ)という大きな湖の側に、一人のおじいさんが住んでいました。

 ある冬の吹雪の夜、おじいさんの家の戸をトントンと叩く者がいたので、おじいさんが戸を開けてみると、そこには一人の娘が雪まみれで立っていたのです。

「おや? この寒い中をどうした? まあ、とにかく中に入れや」

 おじいさんは娘を家の中に入れると、囲炉裏の火を大きくして娘を温めてやりました。

 おじいさんが娘を見ると、娘は足から血を流しています。

「お前さん、足を痛めているのか」

「はい。うっかり、動物を捕まえる罠を踏んでしまいました」

「そうか、それは不運な事だ。とにかく足が治るまで、ここに泊まっていなされ」

「はい。ありがとうございます」

「ほれ、めしが出来たぞ。腹いっぱい食べろや」

 おじいさんが魚汁を娘に差し出すと、娘はとてもおいしそうに食べました。

 やがて体が温まった娘は、囲炉裏のそばで眠ってしまいました。

 そして娘にふとんをかぶせてやろうと思ったおじいさんが、ふと娘を見ると、そこにいたのは娘ではなく、鳥のガンだったのです。

「そうか。足を怪我して仲間たちとはぐれてしまい、困った末に娘に化けてやってきたのか」

 おじいさんはニッコリ微笑むと、怪我をした足に薬をつけてやりました。

 それから吹雪は何日も続き、ようやく青空が見えたある日、娘はおじいさんに深々と頭を下げて言いました。

「おじいさん、長々とお世話になりました。おかげで足もすっかりよくなりました。もう旅をしても大丈夫ですから、そろそろおいとましようと思います」

「そうか、行くのか」

 おじいさんがさみしそうな顔をすると、娘は悲しそうな顔で言いました。

「今まで秘密にしていましたが、実は私、鳥のガンです」

「ああ、知っとったよ」

「そうでしたか・・・。このご恩は忘れません」

 娘はこういうとガンの姿になって、大空へと舞い上がりました。

 そして、おじいさんの家の上を名残惜しそうに三回回って、北の方へと飛んでいきました。



 それから春が過ぎて、夏が来て、秋になった頃。

 十三湖に、またガンが飛んで来るようになりました。

 おじいさんは、そのガンを見る度に、あの娘の事を思い出します。

 そんなある日、一羽のガンが、列から離れておじいさんの方へと飛んできました。

 そして口にくわえ包みを、おじいさんの目の前に落として言ったのです。
 おじいさんがその包みを拾って開けてみると、中には砂金と小さな手紙が入っていました。
 おじいさんが手紙を開けてみると、こう書いてありました。
《おじいさん。以前はありがとうございました。お身体を大切にしてください》
 それを読んだおじいさんは目に涙をうかべると、
「お前も、元気でな」
と、言って、飛び去っていくガンをいつまでも見送ったのでした。

おしまい
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