8月26日 福井県の民話☆下駄貸そか? 傘貸そか?☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、泉村(いずみむら)と言うところに、九右衛門辻子(くうえもんずし)と呼ばれている小道がありました。
 小道の左には竹やぶがあり、右には良覚寺(りょうかくじ)の墓場があります。
 この小道は雨の夜になると、
「下駄(げた)貸そか? 傘(かさ)貸そか?」
と、気味の悪い声がするそうです。
 だから日が暮れると、みんなは怖がってそこを通りませんでした。

 ある雨の夜の事、泉村の彦三郎(ひこさぶろう)という男が、酒に酔ってこの小道を通りかかりました。
 すると竹やぶから、気味の悪い声がしました。
「下駄貸そか? 傘貸そか?」
 彦三郎は小道に現れる化け物の話を知っていましたが、酒のせいで気が大きくなっているので大きな声で言いました。
「おおっ、貸してくれると言うのなら、貸してもらおうか」
 そして竹やぶから踊り出た唐傘(からかさ)と高下駄(たかげた)を、そのまま家に持って帰ったのです。

 さあ、これを見て彦三郎の奥さんはびっくりです。
「お前さん、なんて物を持って帰るんだい! 明日の朝一番に、竹やぶへ傘と下駄を返してきておくれ!」
 奥さんはそう言うと、酔いつぶれて寝てしまった彦三郎の横で、頭から布団をかぶりました。
 そして一睡もできないまま朝を迎えた奥さんは、恐る恐る土間(どま)に置いてある傘と下駄を見に行きました。
 すると傘と下駄は、馬の足の骨と馬のわらじに変わっていたそうです。

 竹やぶの化け物の正体はカワウソで、こうして人をだましては喜んでいると言われています。

おしまい
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