6月22日 福井県の民話☆松屋のびんつけ☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、田島川(たじまがわ)のふちにすんでいた大蛇が、そのころ評判の松屋の小町娘にほれて、何とか嫁にしたいと思いつめていました。
 そこである晩、大蛇は若者に変身すると松屋を訪ねていき、
「娘さんをわたしの嫁にいただきたい。もし嫁にくださるなら、一朝(いっちょう)で千金(せんきん)を得る秘伝をお教えしましょう」
と、願い出ました。
 松屋の主人は、
「今日、初めて会った者に、突然そんなことを言われても困る」
と、若者の申し出を断りましたが、若者が毎晩やってきては熱心にたのみましたので、主人も娘を嫁にやる決心をしました。
 ところが婚礼をすませた後、主人夫婦が二人を見送っていますと、若者は田島川のたもとで立ち止まり、
「わたしは、この川にすむ大蛇です」
と、言うが早いか、たちまち蛇の姿を現して、娘をつれて水底に姿を消してしまいました。
 大事な娘を大蛇の嫁にやってしまった主人夫婦は、毎日のように泣き暮らしていましたが、若者が言い残していった一朝で千金を得る方法を思い出すと、一心に仕事に打ちこみ始めました。
 その方法とは、びんつけの製法のことで、当時は男も女も髪を結っていたため、びんつけ油はどこの家でも必需品だったのです。
 松屋のびんつけは特にべたつかず、匂いも良かったので、たちまちのうちに主人夫婦は大金持ちになりました。
 そんなある時、川筋一体が突然の大火事にみまわれ、松屋も火につつまれましたが、二匹の大蛇が現れて松屋を火事からすくってくれたのです。
 ですが二度目の大火事の時に、その二匹の大蛇は松屋もろとも焼け死んでしまい、松屋のびんつけも品質が落ちて売れなくなってしまったそうです。

おしまい
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