4月20日 日本の昔話☆木のまた手紙と、まっ黒手紙☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、おばあさんと二人で暮らしている娘が、よその村へお嫁に行きました。
 娘は新しい家での暮らしが忙しいのか、お正月にも帰って来ませんでした。
「娘は、どうしているだろう? たまには、娘の顔が見たいものじゃ」

 そんなある日、近くの人が娘のいる村へ出かける事になったので、おばあさんはその人に手紙をあずけました。
 手紙をあずかった人は、不思議に思いました。
「はて? あのおばあさんは、字を知らないはずなのに」

 手紙をあずかった人は村に着くと、さっそく手紙を娘に届けてやりました。
 娘がうれしそうに手紙を開くと、手紙の中には小さな木のまたがいくつか入っているだけで、字は何一つ書いてありません。
 それでも娘は、手紙に字が書いてあるかの様にうんうんとうなづきます。
 手紙を届けた人は、首をひねりながら娘に尋ねました。
「その手紙は木のまたが入っているだけで、何も書かれていないが、何の事か分かるのか?」
 すると娘は、ニッコリ笑って言いました。
「これがわからないで、どうします」
 娘は小さな木のまたを手にとると、手紙の意味を説明しました。
「この木のまたには、それぞれ意味があって、

 お前《また》、なぜ《また》、こない《また》、ちっと《また》、こいや《また》

です」
「??? よく分からんが、『お前、なぜ帰って来ない。ちっとは帰って来いや』との意味か?」
「はい」
 娘は笑顔でうなづくと、すぐにおばあさんへの手紙を書いて、その人にまた届けてくれるように頼みました。
 その手紙を受け取った人は、またまた首をかしげました。
「はて? あの娘さんも、字を書けないはずだが」

 村へ戻っておばあさんに手紙を届けた人は、その手紙の中身が気になって、おばあさんと一緒に手紙を開けました。
 すると手紙の中には、丈夫な一枚の紙が、すみですき間なく、一面真っ黒に塗られているだけでした。
「はて? 丈夫な紙が、すき間なく黒く塗りつぶされておる。・・・これもまた、さっぱり分からんわい」
 手紙を届けた人が首をかしげていると、おばあさんは娘の真っ黒な手紙を見てうれしそうに言いました。
「そうか、そうか。

 丈夫でいるが、忙しくて、ちっともすきがなく、帰って来られんのか。

 なら、今にすきが出来たら、帰って来るんだな」
 どうやら、丈夫な紙は「丈夫(→元気)でいるが」で、
 すき間なく黒く塗られたのは「帰る隙間もないぐらい、忙しく(→真っ黒になるほど)している」との意味だったようです。

おしまい
ペタしてね