4月14日 日本の昔話☆イモの大きさ☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、彦一(ひこいち)と言う、とてもかしこい子どもがいました。

 彦一の村近くの八代の町に、徳平さんという金持ちのご隠居がいました。
 徳平さんは、
「自分は生まれてから、まだ一度も人にだまされたことがない。もし自分をだませる者がいれば、望み通りのほうびをやる」
と、いつも言っていました。
 それで町人たちは、ほうびをもらおうと知恵をしぼって、徳平さんをだましに出かけますが、いつも徳平さんに、やっつけられてしまいます。

 さて、町に野菜を売りに行って、この話を聞いた彦一は、何を考えついたのか、
「それなら、わたしがだましてみせます」
と、徳平さんに面会を申し込みました。
 彦一が庭先で待っていると、ニコニコ顔の徳平さんが現れました。
「これ小僧、お前は知恵者と聞くが、一体どんな嘘で、わしをだますつもりだ?」
「はい、ご隠居さん、お聞きください。今年わたしが作ったサツマイモの中に、こんな四斗樽ほどのやつがありましたよ」
 彦一は、手を大きく広げて見せました。
 すると徳平さんは、大笑いして言いました。
「うあはははは。そんな大きなサツマイモが世の中にあるものか。わしはだまされないぞ」
 すると、彦一は頭をかいて、
「いかにも、これはしくじりました。実は、五升樽ほどです」
「いや、そんな大きな物もない」
「では、このくらい。一升徳利ほどで」
「いや、それでも大きすぎる」
「では、一合が入る、徳利ほどで」
 彦一が、両手の指で輪を作ると、徳平さんもうなずいて、
「うん、そのくらいなら、よくある大きさだ。どうだ小僧! わしをだます事は出来ないだろう」
と、言いました。
 すると彦一は、腹をゆすって笑い出しました。
「うあはははははは」
「小僧、なぜ笑う?」
 彦一は、にこにこして答えました。
「だってご隠居さん。あなたは見事にだまされたのですよ」
「えっ、どうしてだ? 一合徳利ぐらいの大きさなら普通だろう。たとえサツマイモを作ったのが嘘でも、だまされた事にはならんわい」
「でもご隠居さん。いまは夏の始まりで、サツマイモは、やっとつるを畑に植えたばかりです。今年のサツマイモは、まだ小指ほどにもなっていませんよ」
それを聞いた徳平さんは、思わずひざを叩きました。
「しまった! お前があんまり、大きさの事ばかり言うものだから、イモが出来る季節の事を忘れていたは」
 こうして彦一は、約束通り徳平さんにほうびをもらって村に帰りました。

おしまい
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