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11月11日(日)
日本橋教室でバラのキャンドル作りをします
14:30~
16:30~
ヴィクトリアンローズの香りを使ってバラのキャンドルを2個制作します。
受講料は4200円(材料費込み)
希望者は電話042-530-1111
or
メール
まで連絡してね。。
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むかしむかし、天草(あまくさ→熊本県の天草市)に、太助(たすけ)という船乗りが住んでいました。
太助は子どもが大好きで、近所にお腹を空かせた子どもがいると、いつもごはんを食べさせてやりました。
ある日の事、おかみさんが言いました。
「あんた、もうすぐ米びつが空っぽになるよ」
「じゃあ、米を買うてきたらいい」
「そんな事言っても不作続きで、どこへ行っても米も麦もありはせんよ」
「そうか。でも心配すんな。薩摩(さつま)へ行ったら、麦でも買うてきてやるわ」
実はこの二年ほど、天草はひどい日でり続きで、米も麦もほとんどとれなかったのです。
数日後、太助は薩摩の国へ荷物を運ぶために、船を出しました。
帰りには食べ物を、船いっぱいにつんでくるつもりです。
やがて船は、薩摩の港に着きました。
薩摩のお客へ荷物を届けた太助は、その晩はお客の家に泊まる事になりました。
そこで太助は、お腹を空かせた子どもたちの事を話しました。
「そりゃあ、大変な事で」
「はい。自分は子どもの頃に食べ物で苦労をしましたから、子どもたちにはひもじい思いをさせたくはないのです」
「そうですか。太助どんは、立派ですな」
このお客は太助が近所の子どもたちにもごはんを食べさせている事を知っていたので、今までも何かと手助けをしてくれていたのです。
その晩、太助はお客から珍しい物をごちそうになりました。
「うまい! だんな、これは何て食べ物で?」
「これは薩摩にしかない、からいもでごわす」
「からいもですか。うーん、実にうまい!」
「わははは、そうでごわしょう。これは食べてよし、酒にしてもよし、おまけによく育つし、この薩摩では米以上の食べ物でごわす」
からいもとは、サツマイモの事です。
太助はからいもを天草に持ち帰り、自分の畑で育てたいと思いました。
ですが、その事を客に話すと、
「・・・残念じゃが、それはだめでごわす」
「どうしてですか? 天草の子どもたちのためにも、どうかお願いします」
「うむ、気持ちはわかる。だがこのからいもは、ご禁制品(きんせいひん)でごわす。もしもよその土地の人間に渡したと知れれば、わしはこの首を切られてしまうのでごわす」
「ご禁制品ですか・・・」
ご禁制品とは、持ち込みや持ち出しを禁じられている品物の事です。
次の日、薩摩を出発する太助の船は、ご禁制の品をつんでいないか役人にきびしく調べられました。
「よし、この船には、ご禁制の品はござらん。船を出してよいぞ」
「はい、ありがとうございます」
役人の許しをえて、太助がいよいよ出発しようとするその時です。
客の男が、大急ぎで走ってきました。
「太助どーん、太助どーん!」
「だんな、どうなさいました?」
「太助どん、子どもさんへのみやげの手まりを、おわすれでごわしょう?」
「はて? ・・・手まり?」
「何を言ってなさる。子どもさんに、頼まれたのでしょう。お役人さま、手まりを渡してもよろしいでごわすか?」
「ああ。わしが投げてやろう。それっ!」
手まりは客から役人の手へ、そして太助の手へと渡りました。
「太助どん、その手まりは大事な品じゃ。子どもさんのために、立派に育ててくだされ」
(育てる? 手まりを?)
お客の言葉に、太助は首をかしげながら手まりを見ました。
すると手まりの中から、からいもの芽が入っていたのです。
「こっ、これは!」
客が太助のために、ご禁制のからいものなえを手まりに入れておいてくれたのです。
「だんな、ありがとうございます!」
「子どもたちに、よろしゅうなあ」
「はい、必ず立派に育てます」
こうしてご禁制のからいもは、薩摩から天草へ持ち出されたのです。
天草に帰った太助は、からいものなえを畑に植えると大切に大切に育てました。
「いいかお前たち、いまにこのなえが木になって、うめえからいもがたんと食えるからな」
「それは、本当か?」
「ああ、大きな木になって、からいもが食い切れんほどみのるぞ」
「そうか、早く大きくなるといいなあ」
天草はあいかわらずの日でり続きでしたが、からいもは元気に育っていきました。
「おや? 木ではなく、つるが出てきたな。からいもは、つるになるのか? それなら、そえ木をしねえと」
太助はそえ木に竹を立ててやりましたが、つるはまきつくどころか、いつまでも地をはっています。
畑一面につるがのびましたが、かんじんのからいもはなりません。
「これは本当に、からいもか? 春だというのに、花も咲かんとは」
夏になって小さな花をつけましたが、やはり実はつきません。
「もしかするとからいもは、薩摩の土でしか実らんのだろうか」
太助があきらめかけたある日、畑のわずかな作物をぬすむドロボウがやってきました。
「畑あらしじゃー!」
逃げるドロボウを、太助は追いかけていきました。
「作物が出来んでみんなこまっとるのに、こんな時に畑をあらすとはゆるせん!」
ドロボウは、太助のからいも畑へ逃げ込みました。
するとからいものつるがドロボウの足にからまって、ドロボウは見事にこけてしまいました。
「わははは、からいものつるにひっかかったな。役立たずのつるが、とんだところで役立ったわい」
ドロボウをつかまえた太助は、ふとドロボウの足にからまったつるの先に付いている物を見てビックリ。
「こっ、これは、からいもでねえか! そうか、からいもは土の中になるんか!」
太助は夢中で、ほかのからいものつるを引っ張ってみました。
するとつるの先には、丸々としたからいもがたくさん付いています。
「おおっ、からいもじゃ。からいもじゃ。これだけあれば、子どもたちが腹を空かせる事はなくなるぞ!」
それから天草では、どこの家でもからいもをつくるようになったという事です。
~熊本県の民話~
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