3月27日のお話★悪魔のしっぽ★ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、あるところに、とてもなまけ者の男がいました。
 男には、おかみさんと一人息子がいますが、ひどい貧乏なので、その日に食べるパンも買えません。
 ところがあるとき、男は急に金持ちになったのです。
「お父さん。どうして、お金持ちになったの?」
「そ、それは・・・・・・」
 息子が聞いても男は答えず、心配そうに息子の顔を見つめるだけです。
 そのうちに男は死んでしまい、続いてお母さんも死んでしまいました。
 息子は、一人ぼっちになってしまったのです。
(ああ、これから、どうやってくらせばいいのだろう?)
 息子は泣きながら、お父さんの残してくれたたんすの引き出しを開けました。
 すると、どうでしょう。
 引き出しの中には、金貨がいっぱい入っていたのです。
「わあー、すごい。・・・おや、これはなんだろう?」
 金貨の中に、一枚の紙切れが入っていました。
 息子は、その紙切れを読んだとたん真っ青になりました。
 なんとそれは、悪魔とお父さんの契約書だったのです。
《この金貨と引きかえに、お前の息子が二十一才になったら、息子の命をもらう》
 息子は、あと一週間で二十一才になります。
(この約束の手紙は、悪魔のところにもあるにちがいない。早く取り戻さないと、ぼくは悪魔に殺されてしまう)
 そこで息子は、よく切れる包丁をふところに隠して、悪魔の住んでいる城へ行きました。
 悪魔の城では、宴会の真っ最中です。
 ヘビやコウモリたちが、お酒を飲んだり、気味の悪い声で歌を歌っています。
 息子がブルブル震えながらも、ドアの後ろに隠れていると、ようやく悪魔が現れました。
 悪魔が広間に入ったとき、息子は後ろから力いっぱいドアを閉めました。
「いたい!」
 うまい具合に、ドアに悪魔のしっぽがはさまりました。
「今だ!」
 息子は素早く包丁を取り出して、そのしっぽをぷつりと切りました。
 しっぽを切られた悪魔は、振り返って息子に言いました。
「しっぽを返してくれ」
 すると息子は、負けじと言い返しました。
「しっぽがほしけりゃ、約束の手紙を返せ」
「とんでもない。あの手紙は、お前のおやじから金貨と引きかえに手に入れたものだ」
「いやなら、しっぽは返さないぞ!」
 悪魔にとってしっぽは力の源なので、返してもらわないと悪魔の力を使う事が出来ません。
「・・・わかった。返してやるよ」
 悪魔は仕方なく、ふところから約束の手紙を取り出して、息子に返してやりました。
 そして悪魔は息子から受け取ったしっぽをお尻にくっつけると、あわてて逃げていきました。
 こうして悪魔から手紙を取り戻した息子は、悪魔の金貨で一生幸せに暮らしました。


~フランスの昔話~


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