皆様いかがお過ごしでしょうか。

先日JA732JのWFUが発表されまして、ひとときはそれでTwitterのタイムラインは賑わったのでした。

十分に撮れた人、撮り直したかったが叶わなかった人、見ぬままに終わってしまった人、さまざまな声が一緒くたになって画面をもんどりうって流れゆくサマを見るにつけその注目の集め方、さすが大型機の人気は覆し得ぬもんだと思った次第なのです。

筆者はというと春先でしたか、ちょうど都心運用の羽田にてR/W16R→112番?のスポットインを引き当て両面を晴天のもと押さえていたので、やはりこう言ったことは何の予兆もないうちからしておくべしと再度心に銘じたのでした。

 

さて、先日は福岡へ行ってきました。おっと、誤解を生むことを言いました正しくは福岡空港に、ですね。

何をしに行ったかといえば調査遠征です。福岡といえばデッキが非常に機体に近いことで知られていて、それゆえ塗装や部品の研究には打って付けなんですね。それで筆者は現物主義的でこの目で見たい派なので、じゃあ何かと見に行ってやろうじゃないかということで寒風吹き荒れる福岡へ踏み込んだわけです。もちろん飛来機的に興味のあるものはあって、例えば新しく就航したエアアジア本家とか、そういうのはそれはそれで抑えることができました。

調査的な目的で言えばATRの灯火調査と787の構造材に対する塗装位置の調査でしたが、これはある程度の成果を得まして他におこぼれとして777-200と-200ERの外見状の識別点を見出すことに成功しました。これはまた別途記事に起こそうとは思っています。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

それでこの記事はそのうちの調査成果であるATRの灯火調査をまとめたものです。

簡易的ですので【小調査】を冠した次第です。

 

最初に簡単に日本におけるATRの歴史を振り返りましょう。

日本におけるATRの息吹は1990年代後期にはすでにあり、シンガポールエアショーついでにATR42が仙台でデモフライトを行ったほか、2000年代にはトランスアジアのATR72を鹿児島・羽田に持ち込み、このときはJACのYS-11の後継機をDHC-8と争ったのでした。結局ここでは採用されず、その後もキングフィッシャーのATRを神戸に持ち込むなどの商戦はあったものの実らず、ようやく初本邦ATRオペレーターになるかと目されしリンクが期待の受領寸前まで漕ぎ着けたところで破産など前途多難という言葉がまさしく表す状況でした。

↑日本エアコミューターのYS-11後継機の座はDHC-8が制した

日本への売り込みを粘ること約20年、天草エアラインがDHC-8の後継機としてついに日本初のATR導入を実現しました。時期的に初期のDHC-8やサーブが更新時期を迎えていたこともあり、これを皮切りに各社がATRを選定。2025年11月現在では5社が21機を飛ばしていて、日本のターボプロップの半数に迫る勢いを見せています。

日本で運用しているATRは型式証明上ATR42-500ですが、全てコクピットをさらに進化させたATR42-600というモデルです。

よって公文書類ではATR42-500と称されることもありますが、より正確に区別するのであればATR42-600と表すが好ましいでしょう。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

装備品としては会社によってアンテナなどが異なるものの、今回は灯火に注目していきます。

天草が導入したATR42では、前脚(=NLG)、主脚格納部フェアリング(=バルジ)着陸灯が電球色※写真では消灯、衝突防止灯(アンチコリジョンライト/ビーコン)は白色のフラッシュライトが装備されました。

 

やや時期をおいて導入されたJACのATR42ではこのうちビーコンがLEDの長時間点滅式に更新され、発光時間は天草の0.1秒から0.6秒程度と大幅に増加しました。また天草ではベリー(胴体下部)と垂直尾翼(Vスタ)トップそれぞれのビーコンで発光タイミングが違ったものが、JACの機体からはほぼ同時(ごくわずかな肉眼では識別不能レベルの誤差あり)に点灯するようになりました。

 

JACは日本のATRオペレーターの中で最も多い11機を運用していて、導入時期が長期に渡ったために後期の機体ではさらに差異が生まれることになりました。

後期の機体ではNLG/バルジのライトもLEDに変更され、遠目にもわかるようになりました。

北海道エアシステム、トキエアは全てこのモデルを使用しています。

 

今度は進化ではないのですが、オリエンタルエアブリッジは赤色のビーコンを採用しました。

この理由は不明ですが元々この色は選択可能で海外では赤色ビーコンを使うオペレーターも少なくなく、日本ではたまたま各社が白色を採用したために日本で唯一赤ビーコンのATRを飛ばすエアラインとなりました。

 

 

最後に一覧図を掲載します。

ぜひ灯火のバリエーションも集めてみてください。