1.概要

 

鬼滅の刃じぇっと壱・弍において、機体後方デカール外通常塗装部に通常塗装機とは異なる箇所を発見しました。今回はこれが発生した経緯について考察します。

 

(鬼滅じぇっと弍:JA608A)

(鬼滅じぇっと壱:JA616A)

 

これらに機体は塗装ではなくデカールによって、通常塗装の上に重ねる形で貼られ(デカールの下に通常のロゴとIOJタグが透けていたこと、プレスリリースや雑誌など各種機関の記事、また剥離の際に下からAirJaoanのロゴが浮いてきたことから確実)ました。

色の境目、光の反射などから推定されるデカールの範囲は以下に黄色で示された範囲であることが考えられます。

しかしながら不可解な点が見受けられます。機体後方に着目します。

なんの変哲もないように思われますが、デカールを貼られる前のJA616Aと比較してみましょう。

ドアを通るモヒカンブルーが上へ移動しています。ノーマルの時はドア中央の窓からモヒカンブルーの下辺まで距離がありますが、デカールを貼られてからはほぼ接しています。同様にドアを通るトリトンブルーの面積も減少したほか、最後部の窓も完全にモヒカンブルーの中に収まっていたのが白地にはみ出してしまっています。

JA608Aにも同様の傾向が見られますがこれはどういうことでしょうか。

 

 

2.推察される経緯

 

まず工期が短く、また尾翼における劣化がそのままであることから、全面リペイントは行われていません。現にJA616Aは通常塗装へ戻されましたが、その際には全面リペイントを行ない、他機と変わらぬ塗装に戻っています(引用01)。

 

解決のヒントになったのが「Impress watch」社のインターネット記事(引用02)。この記事ではJA616Aのデカール貼り付け作業の様子を紹介していますが、その中でも注目したい写真(引用03)があります。

(Photo: Impress watch 「ANA「鬼滅の刃じぇっと」、羽田格納庫で120枚のデカール貼付け(12/19)」清宮信志2022年1月24日 “作業の様子”)

 

この2枚の写真を見比べると、引用04の写真では特にデカールと塗装部にズレがあることがわかります。

ここで目につくのが最後部窓とドアの間のマスキング。これが完成時の帯の位置と一致するわけです。

 

では、ここでプレスリリースにおけるデザイン画を見ておきましょう(引用04)。

この図面通りにもしデカールを作成したとなれば、帯が実機とは違うところにあるので、このまま実機に貼ればデカール終点のブルーと、機体のブルーがずれるのは明らかです。

そうなれば、引用03の通りマスキングの上塗装で地色側を修正するのは当然の措置と言えます(実際後でフルリペイントでノーマルになったので、その予定込みでやったことが考えられます)。

 

つまり現在のところの結論は、「(プレスリリースに出たのと同じデザインで)デカールを作成したものの、実機に貼ってみたら(デザイン画の通常塗装部と実機のそれが違うために)通常塗装とずれてしまったので通常塗装側をデカールに合わせよう」となった、というものです。

にしても綺麗に違和感なく塗りましたねえ。

 

JA608Aも同様の措置を講じてるようなので、この機体もデカール終了の折に長期整備とフルリペイントされる可能性もあります。

 

(引用・参考文献)

01: Flyteam  全日空 Boeing 767-300 (JA616A)航空フォト Photo by にっさん 2023/11/17投稿

  https://flyteam.jp/photo/3805200

 

 

02: Impress watch 「ANA「鬼滅の刃じぇっと」、羽田格納庫で120枚のデカール貼付け」清宮信志2022年1月24日 

  https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1382870.html

 

03: Impress watch 「ANA「鬼滅の刃じぇっと」、羽田格納庫で120枚のデカール貼付け(12/19)」清宮信志2022年1月24日 “作業の様子”)

  https://www.watch.impress.co.jp/img/ipw/docs/1382/870/html/ana_03_o.jpg.html

 

04: 鬼滅の刃×ANA

       https://www.ana.co.jp/ja/jp/domestic/theme/kimetsu/