さて前回は全日空を紹介しました。今回は日航を紹介します。
777-300ER
13機を運用する77Wは全機が東京発着の欧米線に投入されています。2023年から後継機として35Kの導入が始まることから、順次退役するのではないかと読まれています。なおJA731JとJA732Jは77Wの試作初号機と2号機であり、デリバリー前に成田にも飛来した経緯があります。
777-200ER
DC-10の後継機に11機を導入した772は、現在787に置き換えられて退役が進み5機を残すのみとなっています。最近まで欧米線・アジア線に幅広く投入されていましたが、現在は内装はそのままに国内線に投入されています。国内線で運用されていた777-200とはエンジンが異なり、GE90-94Bを装備しています。
787-9
現在の国際線の主力機である787-9は22機を運用中で、近距離国際線から欧米線まで多様な路線をこなしています。基本的に東京発着路線が中心ですが関西発着のLAX、HNL線にも投入されています。国内線は成田-伊丹・名古屋に合間運用が設定されたことがあるのみで、国内線仕様の機体は存在しません。
787-8
国際線を中心に運用されれている短胴型の787は、中距離国際線仕様、長距離国際線仕様、国内線仕様の3種29機が運用されています。
長距離国際線仕様機は東京発着モスクワ線などに投入されています。
中距離国際線は東京・大阪発着の中近距離国際線で運用されています。なお国際線仕様機は全て同じタイプのエンジンを使っていて特段長距離仕様機の推力が増強されていると言うことではありません。
国内線仕様機は4機のみの投入に止まっていますが、羽田ー伊丹を中心に運用されています。
A350-900
2019年より導入が始まったA350は、2022年現在国内線使用の-900のみの導入となっています。来年より国際線むけ-1000の導入が始まるとの告知がなされています。現在は東京発着福岡・千歳・那覇・伊丹で運用され、唯一伊丹=那覇が東京発着でないA350の運用路線となっています。16機を運用していて、全機2クラスですがエコノミーとクラスJの比率が差異で2種のコンフィグに分かれています。
767-300ER
運用の歴史は37年を迎えたご長寿機種767は、現在は長距離型の航続距離延長仕様767-300ERに統一されました。国際線で飛んでいた機体の中から9機が国内線に転用され、787導入遅延導入分のうちの5機と併せて羽田発着路線に投入されています。
引き続き国際線で飛ぶ9機についてはWLを装備し燃費削減に努めています。
737-800(本体)
最盛期は50機を導入した738は、JTAへ移籍したJA350Jを除いてリース機の返却が始まり減勢しています。ただし比較的スローペースであることからまだ後継機の話は聞こえてこず、とりあえず需要減退分を退役させているといった具合です。現在は残る45機が羽田発着地方路線に投入されています。キャビンは2クラスで、かつてはモノクラスで運用されていた機材があったものの全機材2クラス化されました。
過去にはJEXが運航を担当していましたが同社が本体へ合併されたことに伴い同社のタイトルが入った機体も、順次日航本体のタイトルへと変更されました。
737-800(NU)
長年737-400を運用していたJTAは、本体の就航から10年が経過した2016年より738の調達を開始し、現在13機を運用中です。当初は6号機から737MAXに変更できる契約が交わされたことから、本邦初の737MAXオペレーターになるかと思われましたが結局全機738のまま調達を続け、12機で一旦導入が落ち着きました。その後追加調達するにあってはボーイングが738の製造を既に終えてしまったことから、本家日航より1機を調達しました。この1機には機体の技術的仕様がJTAと同じいJA350Jが抜擢されました。この機体は同社で唯一キャビンがBSI仕様になっていない機体です。本家にはBSI仕様機がないことから、技術的な面だけでも共通性があるJA350Jが選ばれたと考えられます。
E190
2016年より調達が始まったE-Jetの長胴型は、2018年までに14機を受領し一旦導入は落ち着きました。CRJの後継機のほか、コミューターのQ400とサーブが運航していた路線にE170が投入されることになり、その分の穴埋めの意味合いもあってCRJよりも多目の機数が調達されたと筆者は推測しています。同機は前方にクラスJを備え、グループ全体でクラスJ提供路線を増やすことができました。
E170
2008年より運用が始まったE170は、3回に分けて計18機が運用中です。当初は小牧発着路線を担当していましたが、日航そのものが小牧から撤退したことを受け伊丹にベースを移し全国に就航しています。
2017年からは奄美群島路線のジェット化機材としての役割も担っていますが、来年には導入15年を迎えることからそろそろ後継機が気になってきます。
DHC8-Q400CC
5機の在来型DHC8を運用していたRACが同機種を置き換えることを目的に導入した機材です。先に述べた理由から調達機数は5機となっています。Q400ではありますが、座席数は50席に抑えられ、残りは全て貨物スペースに充てることで沖縄諸島の貨物輸送力強化に貢献しています。座席数が50席なので乗客輸送力としては全機Q300に置き換えたようなものです。
ATR72
9機のATR42を発注していたJACが内2機の契約を変更することで導入されました。この2機が本邦唯一のATR72ですが、近々トキエアが同機種を導入予定で、既に初号機が仏において試験飛行中です。鹿児島発着奄美群島路線に張り付きで投入され、東京・大阪ベースのスポッターはなかなかその姿を拝めません。座席数的に考えてQ400の後継機と言えそうですが公式には需要増大に備える、と言うような趣旨の理由によったと思います。
ATR42(JAC)
JACが2015年にパリエアショーで発注を表明したATRは、現在比較的スローペースで導入が進み、現在は11機を運用中です。同じATRを運用する天草エアラインとも機材融通で提携関係にあり、天草のただ1機のATRが整備や訓練で路線投入できない際はJACの機体が貸し出されます。
ATR42(HAC)
丘珠をベースに道内路線を運航するHACは、前任サーブと同じ3機を導入しています。うち1機はワンワールド塗装であり、日航本体以外では初のワンワールド塗装機として注目を集めました。重整備などで機材が足りない場合はJACから同型機を借りて運航するなど欠航を減らす措置が講じられています。
さて全日空とは違う機材戦略のもと独特のフリート構成の日航。ぜひさまざまな機材に乗ってみてください。