8番目のカフェテリアガール 東京なごやかプロジェクト
極度の味噌アレルギーで東京に逃避行する高校2年の米田シロ。ある日妹のなごのがシロを連れ戻そうと上京してくるが、突如目の前でシロの働く学食「満天」が爆発する。日本最大を誇るその学食では8つの食堂が覇を競い、日夜デス・ゲームが繰り広げられているのだった。
愛する店長代理の天のため、過激なバトルを生き残ろうと必死なシロに感化されたなごのは店に協力することに。
ダメ食堂「満天」。その立て直しはなごのの手に託された。
しかしなごのは〝魔都〟名古屋の申し子で……?
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この一冊で一体『味噌』という単語を何度目にしたことか。ここまで名古屋満載なラノベは他に見たことがない。
味噌と妹が大嫌いで名古屋を飛び出し東京へとやって来た高校生、米田シロはお茶の木学園へと転入する。国内最大級を誇る学生食堂が売りなその学園にて、シロは人気ランキング最下位に位置する食堂、満天で従業員として働く日々を送っていた。
そんな彼の前に、名古屋からやってきた妹、なごのが姿を現す。「お兄ちゃんを絶対名古屋に連れて帰るんだから!」と決意を胸にお茶の木学園へとやってきたなごのであったが、学食の独特の雰囲気に驚き、満天の従業員たちと仲良くなっていくことで、その意識は徐々に変化していく。
テンポ良く進んでいき、基本2ページで区切る構成のため非常に読みやすい。肝心の名古屋ネタは有名所からディープなものまであって、分からない部分も含め面白い。
なごののインパクトがずば抜けてすごかった。これはもう間違いない。
個人的な興味でいくと、最上さんが好み。満天唯一の三つ星を持つ実力者。シェフとしての腕前は非常に優秀であるが、天ノ川さんのこととなると我を忘れてしまうほどに暴走してしまう。おっぱいのくだりは不覚にも笑った。愛情の歪みっぷりが半端ない……いや、僕は百合も全然いけますけどね? クール美人で残念、そのギャップもいい。
なごのが喧嘩を売ったことがきっかけで(?)学食トップの座に君臨するグランドキッチンと、店の今後の存続を賭けて勝負をすることになってしまう。グランドキッチン戦は前哨戦、オープンキャンパスでの本番と二度の勝負が行われた。お互い本気で戦っているにも関わらず時々ネタ的な方向にいってしまうのがまたなんとも(笑)
満天を守るために、とみんなが、そして何よりシロが頑張る姿に胸を打たれた。自分の大切な人を、大切な居場所を守るために本気になるその姿はとてもかっこよかった。
ラストの学園長となごのの会話であった意味深なワード。「No.8」、8番目。これは何を表すものなのか。引きもいい感じに上手いなあ。悔しい、でも続きが気になっちゃう……!
イラスト担当は029さん。文句無しにどのキャラも可愛かったです。天ノ川さんマジ天使!