ゴールデンタイム6 この世のほかの思い出に
海へのプチ旅行の帰り道、事故を起してしまった香子はショックのあまり――引きこもりになった。
会うことはおろか電話もメールも通じない状況にしびれを切らした万里は、加賀家へ乗り込むことを決意。単身高級住宅地にある自宅へ電撃訪問を試みるが、そこで目にする香子の姿は――。
そして残り少ない夏休み、おまけんで花火大会を見にいく会が催される。女子たちの艶やかな浴衣姿にほっこりしつつ、万里は自らの過去としっかりと向き合うべく、地元で行われるクラス同窓会への参加を決める。香子とリンダ、二人と万里の関係もまだまだ揺らぐ。
待望のアニメ化も決定! 今後の展開にご期待ください!
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海への旅行、その帰り道に居眠り運転をしてしまいあわや大惨事。万里のおかげで大事には至らなかったものの、運転者の香子にはとりわけショックが大きかったらしい。
あの事故のあった旅行から一週間が経つというのに、未だに香子とは連絡が一切取れずにいた。そこで万里は千波の働くカフェにて、馴染みの友人達三人を集めて香子について話し合う。みんなで加賀家へ向かおうか、とも提案するが、千波の発言を受けて、最終的には万里が一人で香子の家へと向かうことに。
自分も過去の出来事、その一部として忘れられておいていかれてしまうのではないか、という香子の恐怖。それは本当に相手を好きじゃなきゃ抱かない感情だよなぁ。夢が原因とは言え、そう思ってしまうのも無理はないと思う。それくらい「記憶喪失」ってものは大きい。
実に一週間ぶりに会う香子は今まで史上最高にぼろぼろでひどい。
記憶を失う以前。過去の自分に関わる出来事、関わった人物について置き去りにして忘れようとして。過去を受け入れていないのはあなたの方じゃない!と、本人が一番気にしていることについて言われてしまっては、万里も黙ってはいられない。お前が忘れろって言ったんだろ、と返してそこからマジ喧嘩。お互い言いたいことを言うのもたまには必要だと思うよ、うん。
香子のお父さんのキャラやばい(笑) 何故だがオカマ口調だし、覗き見の挙句開き直るし、果てはラーメンって……! なんで娘が錯乱状態のこんな時にラーメン食べようとしてんだよ!とツッコまずにはいられなかった(笑)
花火大会の日におまけんのみんなで集まるとのことらしく、一年組の万里と香子も誘われていた。しかし、事故後のゴタゴタのせいで中々連絡が上手くいっていなかった。そのせいもあってか少々おかしな、微妙にややこしい事態が起きているとは、そのときの万里達本人は気付くこともなく。いや、まあコッシー先輩の勘違いがいけないんだけども。四年生の就活が上手くいった記念ー!のやり取りとおまけん部員のみなさんの心遣いに笑った。
序盤こそアレだったものの、彼氏をときには引っ張り、ときには支え。香子がめちゃくちゃ良い彼女に見えた。過去の万里も含めて私は大好き!って言える、言いたい、って台詞にはグッときたなあ。事故があってお互いが自分のことを見つめ直して。万里と香子の絆はより一層深まったのではないかと思います。
様々な思案と葛藤の末、自分の過去と向き合うために、万里は地元にて行われる同窓会に出席することを決意する。
幸せ者だな、多田万里は。確かに事故により18年間分の記憶を失ってしまったことは不幸としか言いようがない。しかしながら万里には心許せる友人、自分を心底愛してくれる恋人、過去の関係だと一度は引き離そうとしたがそれでもまだ仲良くしてくれるリンダ。
たとえ月日が経とうとも、記憶を失っていようとも、以前と変わらず受け入れてくれる元級友、仲間達が確かにいる。自分にはそんな素晴らしい関係性がないだけに、ただただ純粋にいいなぁ、羨ましいなぁ、と読みながら思った。何故だかわからないけど万里に感情移入してしまって、不覚にも感動した。ドッジボールのくだりも楽しかったです。
そのまま幸せムードで終わればよかったのに、なんで事故った橋に行っちゃうかな…… どことなく不穏さを感じさせる引き。このタイミングで記憶戻るとかありそうで怖い。何事もなければいいけど。