「《名称未設定》 Struggle1:パンドラの箱」感想 | self-complacency
- 《名称未設定》 Struggle1:パンドラの箱 (ファミ通文庫)/エンターブレイン
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- 俺、神園祐希【かみぞのゆうき】は、チュートリアルと名乗る少女に〈デイドリーマーズ・ストラグル〉に誘われる。それは未来人の暇つぶしのための見せ物【ゲーム】で、勝利のご褒美〈投げ銭【チップ】〉を集めれば、どんな望みも――来年起こるらしい第三次世界大戦の回避も叶うという。部活仲間の綴【つづり】、センパイとともに、俺はこのクソッタレな"白昼夢【デイドリーム】"に挑むことになってしまった。俺は、日々平穏に過ごせればそれで良かったんだけどな――。第14回えんため大賞特別賞受賞、ヒネクレ青春×バトルゲーム!
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高校一年、神園祐希は今日もいつもと変わらぬ平和な日常を半ば面倒だ、退屈だと感じつつも過ごしていた。見た目は可愛らしい女の子なのに性別は男。いわゆる男の娘な友人、雨宮綴。祐希の所属するコンピューターゲーム研究部で出会い仲良くなったセンパイ。ちょっとおかしな彼らと話す時間が祐希にとっては楽しいものだった。
そんな祐希の前に突然、自身をチュートリアルと名乗る謎の美少女が現れる。何気なく返した「またな」の返事がきっかけで、祐希は世界の理をも捻じ曲げるゲーム『デイドリーマーズ・ストラグル』に巻き込まれていく。
ゲームのルール自体は比較的簡単で分かりやすい。基本は3 VS 3のチーム戦。プレイヤーは全員仮面を身に付け、それが壊れる、または死んだ場合に敗北となる。
初期装備として与えられるのは非殺傷武器である特殊な銃だが、武器自体は様々なものがあり、使用にこれといった制限はない。
そしてゲーム終了後、全ては開始前の状態に巻き戻され元に戻る。
『デイドリーマーズ・ストラグル』は単純そうに見えて意外と一筋縄ではいかない、そこがまた面白い点だと思う。チーム戦故にお互いのコンビネーションが重要。初戦は綴が攻撃を受け止めたことで、敵に隙を生まれて勝てた訳だし。今後の戦いがどう繰り広げられていくのか楽しみ。
作中の時代は2014年。チュートリアルに貰ったガイドによれば、来年2015年に第三次世界大戦が起こるという。そして戦いに勝利することで手に入るチップを使えば願いを叶えることも可能だとチュートリアルは言う。それを知ったセンパイは『デイドリーマーズ・ストラグル』に参加し「世界を救おう」と提案する。
漫研部の先輩たちや教師たちとのバトルで少しずつゲームのコツを掴んでいく祐希たち。しかし同時に、何故自分が辛い思いをして頑張らなければいけないのか、とも考えてしまう。確かに他のもっと優秀な人がやればいい、と思ってしまう気持ちは分かるなぁ。ただでさえ身体能力が高いわけでもなくゲームに向いてもいないのだし。
センパイの死をきっかけに、決意を固める祐希と綴。自分たちの願いを妨害する者たちがいる限り、センパイを生き返らせることも戦争を回避する事もできない。ならば戦うしか選択肢はない。それが例え最強ランクのプレイヤー、櫛蛇姫乃であっても。
「どこにでもいけるドアノブ」とかどんなチートだよ!と思ったのは僕だけじゃないはず。戦っても勝てる確率は低いと言われていただけあって、序盤から苦戦を強いられる展開に。祐希は宇宙空間へ飛ばされ、綴は水爆による一撃を受けてしまう。
ここまでかと思われたそのとき、新たな武器、マクガフィンを手にした祐希が再び戦場に舞い戻る。
ラストの戦いは良かった。どんでん返しもあったりしたしね。
諦めずに成長する主人公っていいよね、と改めて思った。祐希の場合はどこか冷めている感じだから主人公らしくないっちゃらしくないんだけども。
個人的には、チュートリアルの純粋且つどこかアホっぽいところが可愛かった。現代の知識がないだけに行動もちぐはぐだったりして、そこも見ていて面白い娘だなーとも思った。
それにしても、最後に明らかになったアレには驚いたなぁ。
綴の祐希への想いは間違いなく本物。その恋が実るのか実らないのかも気になるところ。
あとこれだけは言っておきたい。センパイとんでもねぇぇぇ…!!

