「魔法少女育成計画」感想 | self-complacency

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ライトノベルの感想を書いてました。

魔法少女育成計画 (このライトノベルがすごい! 文庫)/宝島社
¥690
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大人気ソーシャルゲーム『魔法少女育成計画』は、数万人に一人の割合で本物の魔法少女を作り出す奇跡のゲームだった。幸運にも魔法の力を得て、充実した日々を送る少女たち。しかしある日、運営から「増えすぎた魔法少女を半分に減らす」という一方的な通告が届き、16人の魔法少女による苛烈で無慈悲なサバイバルレースが幕を開けた……。第2回『このラノ』大賞・栗山千明賞受賞作家の遠藤浅蜊が贈る、マジカルサスペンスバトル!
 
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まさしく噂に聞いていた通りの黒々としたお話でした。てか人死にすぎィ!
絵柄は可愛らしいのに内容は全く明るくないというこのミスマッチ感、やばい。
 
「基本プレイは無料だが一部コンテンツは有料」といったパターンのアプリが多い中、そのソーシャルゲーム『魔法少女育成計画』は、完全無料で遊ぶことが出来るゲームとして巷で大きな話題を呼んでいた。しかし、『魔法少女育成計画』はただのゲームではない。現実世界のプレイヤーから厳選した数名を本物の魔法少女にしてしまう、というものだった。その事実は魔法少女に選ばれたものたちと案内役のファヴしか知らない。
自らが得た抜群の容姿、驚異的な力に歓喜し、それを楽しむ彼女たち。だがしかし、そんな魔法少女たちに突然告げられた人数削減のお知らせによって、歯車は狂い出す。脱落すれば魔法少女の権利を剥奪されるだけでなく、現実世界でも死んでしまうと判明して――。生き残りを賭けた魔法少女たちのキャンディー争奪戦(殺し合い)が、今始まる。
 
序盤から既に暗い雰囲気が漂っていた。これはキャラクターたちの性格のせいもあるかな。内容があまりにもダークすぎて途中きつかったけど、気付いたらその世界観に引き込まれていました。最後に生き残るのが誰か気になって一気に読んでしまったぜ…… これは色んな意味ですごい作品だ。話題になったのにも今なら納得出来る。
 
魔法少女として、という部分も含めての生きる権利が懸かったサバイバルゲーム。そりゃあ誰も脱落したいとは思わないし、他人が落ちれば自分は助かると分かった日には潰そうと考えるのは必然。そんな状況下において、誰からも疎まれる者、話し合って協力し解決しようとする者、ただ強者との戦いを求める者、と行動は様々。なのでどうなるかが全く読めない。
登場人物がとにかく多くて、覚えるのがすごい大変だった。現実世界の方と魔法少女の方とセットで覚えなきゃだし。でも、人数の多さに見合ったハラハラドキドキ感というか、二転三転する展開の面白さは充分にあったかと。どのキャラクター(魔法少女)も魅力的な点は本当に素晴らしい。
 
死にゆく者たちそれそれが抱えている事情、想い、境遇にリアリティがあるだけに、読んでいて余計辛い。トップスピードの生き残らなければいけない理由が分かった瞬間たるやね…… 残酷すぎて読むのやめたくなったもん。ああいうのは本当きつい。
ポイントは誰が誰と組むか、かな。ネタバレしたくないので詳しくは書きませんが。
身体能力とは別に、それぞれに一つだけ与えられたスキルの存在は大きかったよなぁ。カラミティ・メアリのあらゆる武器を強化出来るスキルやスノーホワイトの他人の心の声が聴こえるスキルなど。戦闘に役立ちそうなものからそうでないものまで、思わぬ使い方があったりして面白かった。寿命を支払って手に入れることが出来る限定アイテムの登場でゲームはさらに加速。まさかあんな結末を迎えるとは…!
 
読み終わった身としてはこれで続きがあるのか、とびっくりなようなそうでもないような不思議な感じ。restartの方はもうちょっとしてから読もうと思います。複数冊一気に読むのはさすがに(メンタルへの負荷的な意味で)重すぎるので……