「も女会の不適切な日常3」 感想 | self-complacency
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無慈悲にエスカレートする否(≠非)日常系、終幕!!
も女会の日常が再び戻ってきた。“美少女”の僕は、愛とラブラブ交際中。さらに先輩も繭も雛子も僕にベタ惚れのハーレム状態! そこへ源ひかると名乗る“少女”が加入して……やっぱりこの世界、改変されてる!? そんな矢先、嫉妬に病んだ愛が再び身投げしてしまう。そして絶望する僕の眉間に、ひかるは銃口を突きつけた! ――わかってる、世界は残酷だ。でも愛と、も女会の日常を取り戻すためなら、僕はこの世界よりも残酷になってみせる!!
初めからこう描こうと決まっていたんじゃないかな、と思わせる文字通り「適切」な幕引きでした。
初めは単なる部活動紹介のはずだったが、例によってちだね先輩のせいで二日間の大きなイベントになってしまった新入生<大>歓迎会。その歓迎会にて、も女会の面々は演劇をやることに。源ひかると名乗る女の子も新入部員として参加し、ますます賑やかになったも女会。愛がロミオ役、リンネがジュリエット役(女装に違和感がない)、など配役も決まり、本番に向けて演劇の練習をこなしていく。
愛とリンネのラブラブっぷりに耐えられなくなり、練習から抜け出すユーリ。そして、そこへやってきたひかるから、愛に関する衝撃的な事実を告げられることとなる。
今までの内容を覚えてないときついかな、という感じで。
割と序盤から二つの視点(リンネ側とユーリ側)に分かれ、物語は進んでいく。
愛の存在に関する重大な事実、クーロ先生の思惑、“狩人”の正体とそれに関すること。などなどが明らかになっていき、リンネやユーリ、も女会のみんなはそれぞれの想いを胸に行動を起こす。
歪められた過去を正しいものへと修正していくのは、地味なようで大変な作業だと思う。子供時代のユーリは臆病者の超人見知りだったのか。それもまた可愛い。
改変されたせいとはいえ、ちだね先輩の裸を見れるとか! くそっ、リンネが羨ましい!(ドンドン
リンネの愛への愛情は間違いなく本物で、それは誰にも歪めることは出来ないだろうなと思った。それにしても、過去を変えられる相手とか普通に強すぎて勝ち目なさそうに見えるよね。
キャラ同士の会話がやはり楽しい。雛子のネガティブとかいうレベルを超越した謙り具合とぶっ飛んだ変態っぷりがやばい…(笑)
今回から参戦のひかるちゃんもSキャラ&雛子好き好きな感じで面白かった。
クーロ先生に対抗するため、リンネが考えた作戦とは。愛とも女会のメンバーたちはどうなってしまうのか。そこら辺のクライマックスを各自で見届けて欲しいなと思います。
兄妹でおなじ名前って設定はさすがに無理がある気もしたかな。それをしないとひかるちゃんに関する辻褄が合わなくなってしまうから仕方ないんだろうけど。結局源ひかる(男の方)のイラストは最後まで出て来なかったなぁ。イケメン設定だからちょっと見てみたかったのに。
海冬先生のあとがき曰く、ライトノベル業界に対する挑戦(ちょっと盛ってる)から生まれた作品だそうで。個人的にはこういう作品がもっと出てきて欲しい、も女会を読んで改めてそう思った。
萌えが悪いとは言わない。MFにも好きな作品はあるわけだし。女の子キャラの可愛さもありつつ、普段はキャラクターたちの楽しい会話が繰り広げられる。しかし、ちょっとしたきっかけから非日常へ巻き込まれてしまう。そこからのシリアス展開。このパターンはやばい。面白さと真面目なシリアス展開のバランスも難しいと思う。でも、そこを上手く描けている作品は間違いなく面白いはず。も女会のように。
ファンタジーではなく、もっとリアルな残酷さが描かれた作品があっていい。

