「大日本サムライガール 3」 感想 | self-complacency

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ライトノベルの感想を書いてました。

大日本サムライガール 3 (星海社FICTIONS)/講談社
¥1,365
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「か、神楽日毬(かぐらひまり)なのである。正しい右翼は、日本に私ひとりなのである!」マスコミ、公安、機動隊から監視されるなか、代々木競技場で開催された日本大志会・第一回党大会。憲法改正、国防戦略、社会政策……高らかに演説する日毬は党大会の最中、一人の男の才覚を見出だし、大志会隊員として抜擢する。
芸能活動では日毬がプロデュースするブランドビジネスを、由佳里が主導する蒼通がメディアの力でブームを造り出す。全てが順調に進むと思われたなか、日毬の身に異変が……。
目的は政治の頂点、手段はアイドル——。
ますます加速する、至道流星(しどうりゅうせい)の“政治・経済・芸能”エンタテインメント!!
 
「日本大志会、本格始動!!」と銘打たれた割には、それほど劇的な変化があったわけでもなく。なんというか、2巻の延長を進んでいる感じ。むしろ次巻からが本番なんじゃなかろうか(毎回言ってる)

政権奪取に向けて歩み始めた日本大志会。国立代々木競技場にて開催された第一回党大会にて、日毬は自らの政治主張を話す。その後、隊員になりたいと言った者たちへ条件を提示。日毬は最後までその姿勢を曲げなかった男、佐々倉壮司に可能性を感じ、隊員へと抜擢する。
一方、ひまりプロダクションは自身のさらなる飛躍とステッチライン再生のため、新たな洋服ブランド『Kagura』を作り、売り出していくことに。
蒼通の力もあり、世間に着々と『Kagura』ブランドの名前が浸透し、その人気にも拍車がかかっていく。一世一代の大勝負であるファッションショーを三日前に控えたある日のこと。凪紗から、日毬が過労によって体調を崩したとの報せがあり……?
 
今回は大きく分けると党大会、新ブランドの設立、ファッションショーってとこかな。
党大会を終えた後に日本大志会に正式に所属することとなった壮司。これがまた様々な会社に務めていたエリートで、非常に優秀な人物だった。ひまりプロダクションの細かな業務も壮司がやってくれるおかげで、颯斗は負担が減って何よりな訳で。そして千歳がまた要らない子扱いを…(笑) 完全にイジられキャラである。
 
ひまりプロダクションがしかける新ビジネスは洋服ブランド『Kagura』。表向きは日毬をデザイナーとして売り出し、裏ではゴーストデザイナーとして川上がデザインを行う、という方針だったが、日毬は納得せず、自分も参加するとファッションデザインについて勉強を始める。ほんとどんだけ努力家なんだ……と思わず唸ってしまうレベル。
『Kagura』ブランド宣伝の大詰めであるファッションショー。その主役はもちろん日毬なのだが、インフルエンザにかかってしまったせいで出演は出来なくなってしまう。毎日仕事がびっしり入っている上に、徹夜でファッションの勉強までしたらそうなるよね…… 寒い中日毬に写真集の撮影をさせたのは、颯斗のミスだな。日毬本人が強がって休もうとしなかったことにも非はあるんだけど。
そこで、代役を買って出たのが姉の凪紗。人前に出るだけでも緊張で倒れそうになるほどなのに、日毬のためだからと自分を奮い立たせて、ファッションショーへの参加を決意する姿には感動した。この責任感の強さも神楽家の教育あってのものなのかな。
 
壮司、凪紗、颯斗の説得により蒼通を辞めた由佳里が正式にひまりプロダクションへと加入。
壮司が雑務を、凪紗がモデル業を、そして由佳里が凪沙のサポートをという基板が出来上がった感じで。颯斗の負担も減り、よりプロダクションの進展を望める状況になったかと。
 
正直なところを言えば、至道流星らしい過激さ、みたいなものがもっと欲しいなあと個人的には思っている。
芸能界とそれを取り巻く業界の実態、実情については確かにしっかり描かれている。でもインパクトに欠けるというかなんというか。このまま芸能活動を見せられるだけでは退屈してしまうかもしれない。
「ブランドがどう立ち回っていかなければならないのか」という部分に関しては、純粋に勉強になったけども。
 
ていうか蒼通の力がすごすぎて。ひまりプロがここまで来れたのは日毬のカリスマ性故ではあるけれど、蒼通の宣伝力がなかったらもっと厳しい展開を強いられていたはず。今後もその力を借りることになるのか、否か。敵には回したくない会社だなぁ。
乾杯の音頭のとき、皇紀二六七二年ってさらっと出て来て一瞬「?」ってなったけど、作中の年代のことなのね。
最後の方で颯斗が言った「俺たちが日本を支配するくらいの勢いでな。」ってセリフがかっこよかった。
 
次にひまりプロダクションはどう動いていくのか。様々な事業に手を出してみたい的なニュアンスのことを言っていたので、そこら辺も期待。あと帯の4巻告知にもあった「最強のライバルアイドル」がどれほどの人物なのかも楽しみ。また一波乱あるんだろうな~と妄想しつつ。