序章 匿名性と悪意
第1章 ネット時代前、あるいはネット以外の出会い系
第2章 孤独と欲望が渦巻く出会い系サイト
第3章 SNSは孤独な心情を映し出す
第4章 ネットいじめ、生徒指導
第5章 死にたい感情が交差する自殺系サイト
第6章 リアルタイムメディアが映す孤独
おわりに
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SNSで事件被害、少年少女1811人 小学生も55人
八木拓郎
行方不明になっていた大阪・住吉の小6女児が栃木県小山(おやま)市の交番に駆け込んで保護された事件で、未成年者誘拐の疑いで逮捕された伊藤仁士容疑者(35)は女児とソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でやりとりをし、大阪で待ち合わせて自宅へ連れて帰ったという。 スマートフォンの普及などを背景にSNSを通じて、事件に巻き込まれる18歳未満の少年・少女は後を絶たない。
警察庁によると、昨年は警察が把握しただけで1811人に上る。統計を取り始めた2008年以降では2番目に多かった。近年、小学生の被害が徐々に増えつつあり、昨年は過去最多の55人。高校生は991人、中学生は624人だった。 SNSへのアクセス手段は「携帯電話」が1632人と全体の9割を占めた。このうち1621人は子どもへの普及が進むスマホだった。パソコンは13人、ゲーム機は10人だった。
被害者が使ったSNSでは短文投稿サイト「ツイッター」が最も多い718人だった。ほかは、学生限定のチャット型交流サイト「ひま部」214人、無料通話アプリ「LINE」80人、雑談チャットアプリ「マリンチャット」78人、動画配信サービス「ツイキャス」46人――など。
有害情報を閲覧できないようにする「フィルタリング」の利用の有無について調べることができたのは1559人。このうち1372人(88%)が利用していなかったという。
被害の種類は、淫行など青少年保護育成条例違反が最も多い749人で、児童ポルノ関連545人、児童買春399人、略取誘拐42人、強制性交等32人、児童福祉法違反27人、強制わいせつ12人――と続く。SNSや電子メールで脅されたり、だまされたりして、裸や下着姿の写真を送信させられる「自画撮り」の被害も増えているという。
全国の小中学校で無料のネット安全教室を開く、ゲーム大手グリーの小木曽健さん(46)は「ネット上で良い人と悪い人を見分けるのは大人でも至難の業。人生経験のない子どもには不可能だ」と話す。
被害を防ぐには、保護者が実際に起きた事件を報道などで細かく把握した上で、ネット上に子どもと接点を持ちたがる悪意を持った大人がいること▽そうした大人がSNSを利用すれば簡単に子どもと知り合えてしまうこと――などを子どもに教えるべきだとしている。(八木拓郎)
ネット犯罪から子どもを守るために大人ができること
・子どもが被害に遭った実際のネット犯罪について学び、できるだけ具体的に説明する
・ネット上に子どもと接点を持ちたいと考えている悪意を持った大人がたくさんいることを教える
・悪意を持った大人がSNSを利用すれば、簡単に子どもと知り合えてしまうことを理解させる
・ネット上は性別や年齢、職業、性格などを容易に偽装でき、大人でも見抜くことが難しいことを伝える
・ネットで知り合った人と会わないように教える。また、会うことに大きなリスクが伴うことも教える
・フィルタリング機能を利用する。ただ、効果は限定的なので、過信しない
※グリーの小木曽健さんへの取材による