大阪の行方不明女児は、逮捕された栃木県小山市の男とSNSを通じて知り合い、他の女の子の話し相手になってほしいなどと言われ、男について行ったことがわかっています。
 
 SNSを通じ、小学生が犯罪に巻き込まれるというのは今に始まったわけではありません。小学生がSNSをすること自体はもはや珍しい訳でもないし、見知らぬひととの出会いも普通だと思った方が良いかもしれない時代です。
 
 今回のやりとりはまだ全貌がわかりませんが、暇と不安と時間があることはSNSで見知らぬ人と繋がるときのキーワードだろうと思っています。拙著「ルポ 平成ネット犯罪」でも、SNSが犯罪場面でどのように機能するのかを触れています。 
 
 いつでも、どこでもインターネットができる「ユキビダス」は、日本政府は政策的に進めてきたこと。実際に、スマートフォンが普及し、小学生からお年寄りまでが、いつでもどこでもネットにアクセスができる。そのため、アクセスの手段であるSNSだって、今更禁止もできない。ただ、いつからアクセスを自由にさせるのか。親にとっては心配かもしれない。しかし、小学生や中学生で禁止をしたとしても、いつかは、SNS初心者になることは間違いない。初心者がトラブルに巻き込まれやすいことを考えれば、解禁されたときが一番のリスクのあるタイミングになるかもしれない。
 
 一般的には行動範囲が広がる中学生や高校生のほうが、小学生よりもリスクが低いとは思っていたが、通信の相手が大人で、自宅付近まで来ることができるとなると、リスクは変わらないということが、今回の事件でわかったことだ。
 
 

 序章 匿名性と悪意

 第1章 ネット時代前、あるいはネット以外の出会い系

 第2章 孤独と欲望が渦巻く出会い系サイト

 第3章 SNSは孤独な心情を映し出す

 第4章 ネットいじめ、生徒指導

 第5章 死にたい感情が交差する自殺系サイト

 第6章 リアルタイムメディアが映す孤独

 おわりに

 
 
 

SNSで事件被害、少年少女1811人 小学生も55人

 

https://digital.asahi.com/articles/ASMCS44YTMCSUTIL00H.html