子どもの性被害を取材したり、調べていますと、加害者が地位を利用している場合があります。もっとも典型的なものは、親による性的虐待です。昨年、刑法改正によって、「監護者強制性行等罪」「監護者強制わいせつ罪」が新設されました。ここでいう「監護者」は、親だけではありません。親と同程度に保護・監督している養親や児童養護施設職員などは含まれます。

 

 ただし、教員や運動部のコーチなどは「監護者」に入らないとされてしまいます。ここは、地位を利用するという意味で、監護者に含むことを望みますが、たしかに、懸念するように、通常の恋愛の延長の場合も考えられますので、きちんとした見極めが必要になります。

 

 ところで、子どもを指導する側の性犯罪がありました。

 

大阪市青少年指導員、10代少女に強制わいせつ容疑

2018年6月27日18時24分

 

 10代女性の体を無理やり触るなどしたとして、大阪府警は、大阪市東成区中道1丁目の飲食店員、米倉徹真容疑者(34)を強制わいせつ容疑で逮捕し、27日発表した。米倉容疑者は大阪市青少年指導員として2004年から夜の見回りなど非行防止活動をしている。容疑を認めているという。

 

 東成署によると、米倉容疑者は5日午前4時ごろ、府内のマンション敷地内で女性に背後から抱きつき、わいせつな行為をした疑いがある。2人に面識はないという。大阪市によると、4月現在で青少年指導員は約2800人いるという。

https://digital.asahi.com/articles/ASL6W5GC0L6WPTIL027.html?iref=comtop_list_nat_n02

 

 これは強制わいせつ容疑の事件です。というのも、青少年指導員の活動の対象者が性的な被害にあったわけではなく、通常の強制わいせつ容疑となったのでしょう。これが活動の対象となったとしても、現行刑法の「監護者」にはなりません。監護者となるには、親と同程度に保護・監督している場合に限られるからです。