東京都迷惑防止条例違反

強制わいせつ

住居侵入

暴行

 

平成29年(わ)17

裁判長 綿引聡史

 

起訴 1月10日付 A(8)条例違反

          B(10)強制わいせつ

          

追起訴 3月8日付 C(12)住居侵入、暴行

 

 母親の証人尋問

 弁護士 生活は一緒に?

 母 はい

 弁護士 他にどなたが?

 母 姉と。

 弁護士 逮捕されて、釈放されてから?

 母 はい。

 弁護士 逮捕前、どの程度連絡を取っていた?

 母 結婚もしていたので、用事がある時だけ。月1回程度

 弁護士 事件の兆候は?

 母 気がつきませんでした。

 弁護士 逮捕と聞いて?

 母 まさか、と。確認したいと思った。

 弁護士 本人が犯罪を認めたと聞いてからは?

 母 警察の長い取り調べての結果。それは本当に悲しく、辛い思いをした。

   子どもも認めたということで、被害者にも親御さんには申し訳ないと。

 弁護士 何が原因か?

 母 ストレスの対処の仕方がうまくない。

 弁護士 NPO法人性犯罪加害者の処遇制度を考える会・性障害専門衣装センターSOMECに通っていることを?

 母 知っている。

 弁護士 何をしていると。

 母 グループでそれおれの犯罪への思いを語り合っていると。

 弁護士 意見書も読んだ?

 母 はい

 弁護士 原因は?

 母 主人は亡くなっていますが、性格が細かく、小さい頃から声を荒らげたり、大きな声で威嚇していた。思うようにしたがっていた。

 弁護士 いじめについては?

 母 子どもが何も言いませんでした。心の中で抱え込んでいたと思うことはあった。

 弁護士 今回、話し合うことができたか?

 母 はい。

 弁護士 センターに通うことがきっかけ?

 母 それも大きい。これまでは気持ちを話すことがなかった。ともに生活した中で自然と話ができた。

 弁護士 今は会話はしている?

 母 多いです。

 弁護士 被告人をセンターに通わせることを約束できる?

 母 約束できます。必ず通わせます。

 弁護士 姉さんがいる。被害者は女児。どういう気持ちか?

 母 女の子を持つ身でもある。苦しみがどれだけ深くk、辛いものがあるだろう。

   お子様が大きくなるに連れてどんなに影響が大きいことかと。

 

 検察官 いつ頃から一緒に生活?

 母 逮捕されて、釈放され、自宅に戻ってから。12月から。

 検察官 姉はどう思っている?

 母 いろんな思いがあり、しばらくは受け入れがたいものがあった。

 検察官 姉はどう話している?

 母 今はいけ入れている。罪に憎んでいるが、しかし家族だから….

 検察官 家族だから同じように受け入れる?

 母 今は葛藤がある。

 検察官 被告人どう話している?

 母 被害者、ご家族の人生を変えてしまった。本当に申し訳ない。心無いことをしてしまった、と。

 検察官 被告人は仕事は?

 母 やめている。

 検察官 センターに通わせるのはいつまで?

 母 (泣きながら)はきいりとはわからないが、医者の診察で、自分で責任がとれて、自立ができるようになるまでだと思う。

 (被告人も泣いている)

 

被告人質問

 弁護士 3件の犯罪で起訴。近接した現場。原因は?

 被告人 2年前のストレスが原因で適用障害と診断された。3ヶ月間、休み。

     ストレスを解消できずに、弱い子どもを体を触ってしまった。

 弁護人 勤務態度は?

 被告人 能力のない人間だが、日々真面目に勤めてきた。

 弁護人 会社の方々が、釈放のために協力してくれた。普段の被告人を見ていてくれたから?

 被告人 はい。

 弁護人 職場の人間関係は?

 被告人 転職をしたが、そこでも仕事を見ていてくれた。

 弁護人 夫婦関係は?

 被告人 結婚5年。一緒に暮らして12年。すっご仲良く過ごしてきた。

 弁護士 適用障害で休職したときも支えてくれた?

 被告人 1ヶ月くらい動けなかったが、何も言わず、「ゆっくり休んで」と言ってくれていた。

 弁護士 家族も夫婦関係も悪いわけではない。ストレスの原因は?

 被告人 営業の仕事で、数字の結果を出さなければならなかった。ストレスのコントロールがうまくいかない。仕事に慣れず、ミスを指摘され、怒られることがあった。ストレスを感じてしまった。

 弁護人 仕事が慣れていなかったり、ミスをすれば怒られるのは多くの人は経験する。

 被告人 大学卒業して、社会人も10年以上。いろいろなことがあった。でも、今回のようなことを起こすことはなかった。ストレスだけが原因ではない。

 弁護人 子どもへの性的嗜好はあった?

 被告人 結婚もしている。これまで大人の女性としか付き合ってない。子どもへの指摘嗜好を意識したことはない。親戚の子どもと遊ぶことはあったがそんなことは考えなかった。

 弁護士 被害者のことは考えた?

 被告人 当時は考えなかった。しかし、自分の子どものころを考えてみても、大人はすごく大きい存在。そんな大人から無理やり触られるのは怖かっただろう。眠れない子もいるだろうし、嫌悪感、恐怖感を抱いた子どもいる。

 弁護士 勾留時に何を考えた?

 被告人 本当に多くの人に迷惑をかけた。私自身も仕事をなくし、職場にも取引先にも迷惑をかけた。母も留置所に足を運ばせた。妻にとっても、幸せだったのに、犯罪者の妻にしてしまった。

 弁護士 奥様とは?

 被告人 離婚した。

 弁護士 どちらから?

 被告人 私としては続けたかったが、妻から「別れよう」と連絡があり、離婚届を送った。これ以上、苦しめたくなかった。

 弁護士 釈放後はセンターに通っている?

 被告人 内省プラグラムに3回。2、3、4月。

     カウンセリングに1回。

     プログラムの説明 1回。

     福井先生の診察1回。

     合計6回。

 弁護士 どんなことをする?

 被告人 カウンセラーが2人。

     性犯罪加害者が4~5人。

     なぜそのような行為をするのか

     被害者をどう思うのか

     自分がどう変わっていかないといけないのか。

     そうした話し合いを3時間ほど。

     自分自身の考えを話す。変わるためにも話しにくいことも話している。

 弁護士 変化はあった?

 被告人 多くの被害者や被害者の家族を傷つけた。

     今までは仕事中心。自分1人で生きていると思っていた。しかし、支えられていると自覚した。そういう人たちを裏切った。少なくとも自分は変わらないといけない。今後も、センターに通いたい。

 弁護士 子どものへの性的嗜好の原因は?

 被告人 すべてではないが、父親の件といじめ。自分を受け入れられない。

 弁護士 カウンセリング前に自覚はしたか?

 被告人 頭のすみではなんとく思っていた。自分自身で消化できなかった。

     父のことも母に話せないでいた。なんでも家族や信頼できる人には話そうと思った。

 弁護士 あなた自身もいじめから不登校になった。被害者の中でも学校に通えない子どもがいる。

 被告人 いじめと違って、被害者は一切悪いところはない。心の傷をつけてしまった。人生を狂わせてしまった。

 弁護士 センターに「来なくてもいい」と言われるまで通い続ける?

 被告人 犯罪を犯さないためにも何年も通う。

 

 反対尋問

 検察官 費用は?

 被告人 一回2万5200円

 検察官 頻度は?

 被告人 月1回。1年以上通うことになっている。

 検察官 女児への性的嗜好は?

 被告人 かつては思っていない。今やっている診察で、暴力という認識になった。

 検察官 今は3人で住んでいる。姉は?

 被告人 これまでは姉とはそんなに会話はなかった。仲が良いほうではない。姉なりに色々消化しちて、家族だから、と受け入れてくれている。

 検察官 慰謝の処置は?

 被告人 示談という思いはあった。遺族に慰謝したい。

 検察官 実行性はあるのか?

 被告人 自分自身の貯蓄もあるし、母とも相談している。

 検察官 母親のことをどうおもう?

 被告人 親孝行をしないといけない年齢。本当、最低なことをした。親不孝なことをした。

 それでも生活をしてくれて感謝している。

 検察官 被害者の親はどれ以上苦しんでいることは理解している?

 被告人 わかっている。

 

 追加質問

 弁護人 示談は希望している?

 被告人 希望している。

 弁護人 資力は相当なものになることは言ったが。

 被告人 理解している。

 弁護人 居住区には立ち入らないこと?

 被告人 約束している

 

 被害女児の母親の意見陳述

 

 学童保育の通学路の途中で被害を受けた。娘は泣きながら帰宅し、すごい形相で抱きついてきた。そのときの娘の顔は忘れられない。娘はそれ以来、心が壊れてしまった。過呼吸で苦しんでいる。それ以後、外が怖い、男の人が怖いと言っている。

 新学期は一回だけした学校にいけていない。

 (昨年も)2、3学期は学校に行けず、成績の評価もできない、ということだった。

 家になかで苦しんでいる。娘が忘れられているようで涙が止まらない。

 8歳の娘、被害ははかりしれない。

 父親が亡くなってから、大事に育ててきた。

 なぜ苦しまなければならないのか。周囲の心無い声に傷ついた。

 娘が今後どうなるのか。不安と心配で苦しい。

 娘の将来を暗じ、一緒に死のうとも考えた。

 加害者は示談ばかり言う。加害者の汚いお金は要りません。

 卑劣な行為に対しては、これ以上、新たな被害者を生まないためにも、厳罰を望みます。

 娘の心を殺した殺人事件だと思います。

 私は加害者絶対許せません。

 罪を償ってから、治療を受けてください。