*この有料メールマガジンは、フーミーと、Livedoorで配信しています。

 主文。懲役14年に処する。

 見知らぬ男女の出会いの場を提供する「出会いカフェ」をきっかっけにした、初めての殺人事件が2010年9月に起きた。東京地裁(吉村典晃裁判長)は2011年2月18日、判決を下しました。

 初公判は2月15日にありました。被告人は紺野正美で、容疑は殺人と窃盗です。髪を坊主刈りにし、スーツ姿で入廷しました。裁判員は6人すべて男性。補充裁判員2人のうち1人が女性です。

 私はこの事件は、被告人の「生きづらさ」と、被害者の「生きづらさ」が結びついた事件ではないか、と思うのです。

 まず、この事件の概要について、説明します。

 起訴事実は10年9月26日午前3時ごろ、池袋のラブホテル「K」で被告人が女性(22)を殺害し、現金6万円を窃取したもの。被告人と弁護人は「問題ありません」と、起訴事実を認めました。

 冒頭陳述で、梶原明日香検事(秋葉原事件も担当している)は事件の概要について「被告人が、出会いカフェで知り合った被害者と口論となり、その態度に立腹し首を絞めた後、その行為が警察に発覚するのを恐れ、殺意をもって、被害者の首を締め付け殺害し、逃走するに当り、被害者の現金を盗んだ」としました。

 犯行に至る経緯としては、梶原検事は、9月25日午後11時55分、被告人と被害者が出会いカフェKで出会い、一緒に同店から外出し、被告人が被害者に2万円を支払い、飲食をした、としました。

 また翌26日午前2時5分、2人は東池袋のラブホテルに入室。被告人が被害者に3万円を支払い、性交をした。その後、被告人は財布を確認したところ、1万円を盗まれたと思い、被害者を問いつめた。

 被害者は暗に抜き取りを認め、借用を申し出た。しかし、被告人が拒絶した。そのとき、被害者は「無理矢理ホテルに連れ込まれたことにする」「店や警察に言う」などと言い、部屋を出て行こうとしました。

 被告人は、被害者の左肩を右手でつかみ、振り向かせようとした。その手が首に当たった。被害者は「首を絞めた」と騒いだために、被告人は腹を立てた。そのため、ベッドに仰向けに押し倒し、馬乗りになって、両手で被害者に首をしたというものです。

 検察側は殺意があった、と主張しました。

 この件に関して被告人質問で、紺野被告と弁護人のやりとりは次の通りです。




この記事には続きがあります。全てをお読みになるには、購読が必要です。
⇒ 購読中の読者はこちらからログインすると全文表示されます。

渋井哲也オンラインマガジン 「悩み、もがき。それでも...」
渋井哲也( フリーライター) :
価格:525円/月(税込) 発行:月2回

http://foomii.com/00022

 今回からlivedoorの配信システムも使っています。