読売新聞や日経新聞は、東京都が12月定例会で青少年健全育成条例の改正案を再提出と伝えている。そして、民主党がその改正案に賛成するとの方針ともしている。伝えられている改正案は、反対の多かった「非実在青少年」という文言を削除。規制の内容は、ほぼ、否決された改正案とほぼ同じ、とされている。

 しかし、条例案の中身については、明らかになっていない。そのような中で、東京都議会総務委員会(高倉良生委員長)が11月18日開かれた。都側は「不健全図書指定の数や、青少年健全育成協力員による通報件数が減少しているのは望ましい」としつつも、「あくまでも現行基準」と指摘。暗に新たな基準を設ける準備をしていることをにじませた。

 ちなみに、条例の改正案は22日の議会運営委員会で示される。

 質問した松下玲子議員と、浅川英夫・青少年対策担当部長とのやりとりは、以下の通り。

松下 不健全指定図書は、激減している。出版業界の自主規制が徹底していると思うが?

浅川 現行基準の数はH16年度以降、大きく減少している。もともと成人向けの出版物は、出版社が成人向けマークをつけることになっているが、基準に該当する内容で、一般陳列棚にあり、区分陳列されていない場合は、指定されることになった。このため、自主規制を徹底させるため、H16年に改正し、表示図書制度を設けた。指定図書が減少したことは好ましい。

松下 出版業界が自主的に行っている「シール止め」を、どう評価しているか?

浅川 シール止めの取り組みについては、「不健全指定」の基準ではないが、「青少年にはふさわしくはないもの」として導入した出版業界の自主規制。ただし、「不健全指定」の50%以上は、自主規制団体に入っていないアウトサイダー。

松下 区分され、シール止めされているが、表示図書レベルものだったので、指導したことがあるということですが、運用を改める方法を業界とともに考えてほしい。アウトサイダーも、自主規制団体にどうすれば加盟できるのかと取り組んでいただきたい。  現状に問題があるとすれば、自主規制と運用がどうなっているか調査をする必要がある。都としてはどう把握しているのか?

浅川 映画やゲームなどの業界は事前審査とレーティングと決めている。出版業界が独自に実施している自主規制は、通報制度と適宜実施している意見交換で把握している。

松下 青少年健全育成協力員による指定図書に関する通報は少ない。自主規制は進み、運用が進んでいるのでは?

浅川 現行基準では、区分陳列が行われていない通報制度が少ないのは当然。好ましいこと。しかし、これらはあくまで現行基準にもとづくもの。

松下 業界団体の自主規制を把握している。都も説明会をしているが、青少年の意見は聞いたのか?

浅川 都民への説明は、反社会的な性行為の漫画が子どもでも容易に購入できる現状を、現物を示した。都として、見せることが好ましくないと説明している。

松下 なぜ漫画を示した説明会を72回も行っているのか?インターネットやフィリタリングについてはしないのか?当事者の青少年の意見を聞くべき。

浅川 青少年のリテラシーや情報判断能力をつけるのは重要。インターネットの家庭内のルールづくりなどは実施している。今後も、フィリタリングの徹底と両輪としていく。

松下 善悪の判断能力をどう身につけるのは、インターネット利用だけではない。さまざまなメディア、実体験の中で、青少年が身につけて行くもの。判断能力を身につける機会を奪ってはいけない。治安維持の観点ではなく、健やかな成長するための観点で取り組んでほしい。



都の漫画規制条例、修正案を再提出へ
読売新聞 11月16日(火)3時3分配信
 子どものキャラクターによる露骨な性行為を描写した漫画やアニメの販売・レンタルを規制する東京都青少年健全育成条例の改正案について、東京都は15日、文言を修正の上、今月末開会予定の都議会に再提出する方針を固めた。
 これまで反対していた民主党も修正内容に同意するとみられ、条例改正の公算が大きくなった。
 今年3月に提出され、6月に否決された改正案は、漫画などの登場人物で「18歳未満として表現されていると認識される」ものを「非実在青少年」と定義。それに対する強姦(ごうかん)など反社会的な性描写の作品を「不健全図書」に指定し、子どもへの販売や閲覧を制限する内容だった。
 再提出案では、定義があいまいで過度な規制につながる恐れがあると指摘された「非実在青少年」との文言を削除、「18歳未満」とした、規制対象のキャラクターについても具体的な言及を避けた。
最終更新:11月16日(火)3時3分

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