耳かき店店員殺害事件の、検察側からの被告人質問。

 15:40分

 検察官 美保さんに恋愛感情を抱いていない?

 被告人・林貢二 ない

 検 一緒に外出したい気持ちがあったのか?

 林 ない

 検 美保さんから来店を誘われた?

 林 はい

 検 新宿東口店では長時間寝ていた。秋葉原店でも寝ていたことがあった?

 林 はい

 検 誘われてから長時間になったのか?

 林 誘われたのは事実です。

 検 誘われていなければ?

 林 わかりません。

 検 人として信頼されていると思った?どんなことで?

 林 意味がわかりません。

 検 待ち伏せをしない人だろうかとか。人と人との信頼関係。変なことをしない人だろうとか。

 林 はい

 検 恋愛感情ではないとすると、どんな関係を知りたい。説明できないのか?

 林 個人的な話をするとか、メールアドレスを交換するとか、家の場所を教えるとか、信用していないと話さないだろうから

 検 変な事をしないだろうということか?美保さんはお客さんはいっぱいいた。しかし、この人は何なことはしないだろうと?あなたの認識は?

 林 信用していなければ、家の場所を話さないのでは?

 検 家族の話や家の場所はいろんな人に話すとは思わない?

 林 思わない

 検 あなた以外にメールアドレスを教えていた?

 林 聞いたことはあります

 検 よくあることとは思わない?

 林 人によります

 検 珍しいことではないのでは?

 林 珍しいとは思っていない

 検 予約は特別扱い?

 林 はい

 検 それ以外での特別扱いは?

 林 思いつきません

 検 予約を増やした。しかし、7月に待ち伏せを疑われた。ブログで<ぴよ吉>と書かれていたから、再び来るようになったと。捜査段階で話をした?

 林 忘れました

 検 鑑定医には話した?

 林 覚えていない

 検 いつ誰に言った?

 林 いつかは分からない

 検 ぴよ吉のエピソード(*美保さんに待ち伏せを疑われて店に来なくなったが、美保さんがブログに、<突然だけど、元気かな?ぴよ吉>と書いたことから、被告人が再び店に来るようになったこと)を忘れていた時期は?

 林 忘れてはいません

 検 供述調書にはないが。

 林 聞かれなかったから

 検 美保さんから「平日も来てほしい」と言われたということだが、「平日のほうが空いているから」というのが理由だと。他の誘い文句は?

 林 覚えていません

 検 仕事で平日が忙しかったのに、どうして金曜日はコンスタントに行ったのか?断ることもできたわけですね?従わなければならないわけではないですよね?

 林 はい

 検 どうして金曜日に行くようになった?

 林 行くと決めたから

 検 どうして?

 林 金曜日に行くと決めたからです

 検 金曜日に1人で食事をしたくないと思った?

 林 いいえ

 検 昨日の証人の話では、そう言っていたと。

 林 覚えがない

 検 だとすれば、どうして金曜日に店に?

 林 次の日が休みだから

 検 美保さんといるのが週1、週2では足りないから増えていったのでは?

 林 それは私の説明とどう違う?

 検 美保さんから言われたと今日は言ったが。

 林 誘われたのは事実です。

 検 「私はできるだけ長く美保さんといたいと思った」と、08年の秋頃の供述調書には書いてある。美保さんに会いたいからでは?

 林 誘われたのは事実です。

 検 会いたいから回数を増やしたのでは?

 林 誘われたのです

 検 行きたくなかったのか?

 林 行きたい気持ちはあった。きっかけは誘われたから。私から切り出したわけではない

 検 新宿東口店では寝ていた。強引に誘われたかのように言っているが、行きたかったのでは?

 林 きっかけはさきほど説明した通り

 検 あなたの気持ちとして、会いたかったのでは?

 林 (首をかしげながら)今日、説明した通り。

 検 行きたくないのに行った?

 林 行きたくないとは言っていない。つまらないわけではないし

 検 否定も肯定もできないというのは、別の感情があるのか?

 林 人の気持ちは割り切れるのか。分からないが、美保さんに誘われて、最初はきついと思ったが、毎回、言われるうちに、「行ってみよう」と思った。仕方なくというよりは。。。。

 検 あなたが行かないと、他の客が行き、美保さんをとられてしまうとは考えた?

 林 いいえ

 検 美保さんといる時間は楽しかった?

 林 はい

 検 どう楽しい?恋愛感情でないとしたら、どんな時間だった?

 林 楽しかった

 検 「心の安らぐ時間」か?

 林 当たっています

 検 秋葉原店から新宿東口店への移動で、店長が拒否するのはおかしいと思うか?

 林 今は思いません

 検 店内で泣いたことは?

 林 ない。一回もない

 検 証人の証言では「泣いていた」と。調書でも涙ぐんでいた、と。

 林 それはオーバー。がっかりした様子を大げさに表現した。

 検 がっかりするとは、どんな態度?

 林 わからない。周りの人にどう見られていたのかは分からない。特に何もしていない

 検 美保さんのために、お菓子を買って来て一緒に食べたことがあるが、他の客がすでにお菓子を買って来ていて、美保さんはそれを食べていた。そのため、被告人が買って来たお菓子を食べなかった。そのとき、文句を言った?

 林 「何それ」とは言った。文句と言えば文句でしょう

 検 調書は確認したのでは?

 林 見たとは思います。しかし、必ずしも正確には言えていない部分があるし、間違っている部分もある。訂正されないときもあった。取り調べは事件の直後。今は一年以上経っている。当時は、頭が混乱状態であり、注意力も冷静さもないころ。

 検 事件の直後の方が記憶は新鮮なのでは?

 林 新鮮かどうかはわかりません

 検 訂正を申し出たこともある。確認していたのでは?

 林 いや、手続きをおろそかにしていたのではなく、精神状態の問題。かろうじて指摘できたのは一カ所。そのくらいのショック状態だった。だから、必ずしも正確ではない。

 検 どうして一回だけ言えた?

 林 頭でカウントしているわけではない。

 検 ショック状態なら一回も訂正できないのでは?

 林 そうは思わない。

 (続き)