3日、横浜市のはまぎんホール「ヴィルマーレ」で、自殺問題研究会とファイザー株式会社の共催で「自殺問題研究会 いのちを守る行動ネットワークが開かれました。第2部での「昼から生討論!どうする?自殺大国ニッポン!」には私も参加しました。ほかには、精神科医や内科医、看護師、司法書士、精神保健福祉士、僧侶、報道関係者、教員らが参加しました。

 会場とのやりとりを多くしていたこともあり、壇上のパネラーの発言はそれほど多くありませんでした。私の発言も2カ所でした。いかに、今日のやりとりを掲載します(ただし、私の部分は、メモできなかったために、後日、整理して掲載するかもしれません)。

昼から生討論!どうする自殺大国ニッポン!

●自殺する権利はあるのか?

司会 自殺するのは仕方がない、と言われる。しばしばそんな議論がある。

司法書士 権利というと、日本国憲法。25条の生存権。12条には、自由及び権利は、保持する。人は生きる権利を放棄していいのか?ということ。国は人の営みによって成立。人がいないとだめ。生存権を持ち続けないといけない。19条、思想および良心の自由。自殺をすることが思想に基づくものなら放棄してはいけないか。悩めるところ。

遺族支援 父親を亡くした。死ぬ権利はあるのではないか。権利がないとすると、父親の死に方を否定しないといけない。自殺予防、自殺対策。予防となると、自殺を減らすこと。自ら命を絶っている人が正常な判断ができるのか。権利として認められる。権利の主張と自由の議論。すべてが個人の問題とされてきたことが問題。残された立場としては苦しみと葛藤が生じる。

会場(男性) 人に迷惑をかける以上は、権利は認められない。権限とは違う。

会場(女性) 言葉に囚われないで、選択する権利があるのでは?その先に、死ぬ、生きるがあるのでは?

会場(女性) 自殺したい、という人が正常な判断ができるのか。サポート体制が整っているのか?権利があるとは簡単には言えない。

僧侶 権利は誰から誰に与えられるものか?憲法は、国と私の間。キリスト教ですと、神から与えられる。仏教では、創造主はいない。権利うんぬんではなく、目の前の苦悩にどう関わるのか。「死ぬ権利がないのだ」というのを誰も受け止めないのならこれ以上辛いものはない。受け止める必要がある。

精神科医 ここを抑えておかないと、予防の対象になるのかどうかがわからない。かわいそう、社会的に追い込まれた、だけでは、本気に取り組む動機になるのかは疑問。精神医学はどう考えるのか。自殺で亡くなったときに8~9割が、精神科の診断のつく段階になっている。本当に冷静に判断しているのかがポイント。日本では、切腹文化の影響があるのでは?という仮説もあるが、横浜市のデータでは、やはり8~9割の人に、医学的診断がつく。おそらく普遍的事実だろう。理性的な自殺とそうではない自殺。後者の場合、認知の歪みが生じている。理性的ではない。

司会 その人らしい判断力がない。失われている。心の病がはさまっている。

●なぜ自殺は減らないのか?

司会 1998年でいっきに自殺が増えている。3万人以上、12年連続で続いている。18%の地域住民が精神疾患にかかっている。一方、なかり具合の悪い人でも、22%しか精神科を受診していない。

NHK記者 「無縁社会」をテーマに取材している。「無縁死」を名付けた。3万人以上、無縁死なのでは?高齢の人から反響が多かったが、20~30代の反応もあった。「死にたい」「自殺をはかりました」という手紙も。自分の存在している意味が感じられない。派遣、アルバイトを転々としている。夢には近づけない。生きている場所、人間関係がない。世の中に増えているのではないか。NHKあてに遺書を書いた人もいたくらい。しかし、社会問題を解決しないと自殺は減らないのか?そうではないと思う。ちょっとしたことで自殺を食い止められるのでは?

リエゾンナース リエゾン=人と人をつなぐ。ケアを調整。心と体をつなぐ、という意味も。身体的苦悩、精神的な苦悩のケか。2次救急指定病院。自殺企図の人、リストカット、ODとか。「死にたい」と思ったが、心の治療がされることなく、自宅へ。医療の中では、さまざまな角度から死を選択する人が多い。

会場(女性) 子どもと関わる仕事。子どもの自殺に興味がある。日本の子どもは、「幸せ」と答える率が少ない。子どもにも精神疾患が増えているのでは?

小学校教員 直面したことはないが、家庭に問題がある子、いろんなことを考えている子、発達障害など、子ども自身が背負っていることがある。

会場(女性) 日本社会全体の仕組みを変えないといけない。「こうしないといけない」ということがあまりにも多い。他にも方法がある、と見えればいい.一人ひとりが何がやりたいのかを選べる社会になれば、かわるのでは。

会場(女性) 一人ひとりを支える力が弱くなって来ている。派遣や貧困ではないという話があったが、そういうところだけに気持ちが

会場(男性) 関係性の希薄化。家族や地域社会が機能しなくなっている。薄くてもいいから、どこかとつながっていればいい。追い込まれているところから引きずり出せることもある。

会場(男性) 生活困窮者は生活保護がある。そこまで追い込まれた人は、きちんと説明できない。それ以上、生存する手段がない。それをケアしないといけない。

司会 キーワードはいくつか。学校の問題、職場の問題。こうだから自殺は減らない、ということはない。簡単な図式ではない。多岐にわたる問題。簡単に変えられる仕組み、変えられない仕組みがある。

精神科医 自殺はある日突然起こるのではなく、プロセスがある。精神疾患になると、加速される。多岐にわたるが、最終段階では、精神科医療の出番が大きい。

●抗うつ薬って?精神科って?

司会 心の病で自殺に追い込まれることはある。この状況の人は、自殺したいが、逃れたい、解決したいと思っている。精神疾患はかなりの大きな比重を占めている。うつ病患者は、H8年からH20年まで3倍以上に増えている。本当に精神科は怖くないのか?抗うつ薬はどうなのか?

会場(女性) 精神科は敷居が高い。隅にあって暗いところにある。薬を出されたが、すぐに効果がでない。睡眠薬を最初に出されたときは、これでいいのかな?と思ったりした。最初は薬が怖かった。

会場(女性) 薬剤師。使い方を間違えなければいい薬。

会場(女性) 私自身も抗うつ剤を飲んでいた。効果が出るまでの副作用が心配。周りからの偏見も強かった。

会場(男性) うつ病患者。薬も飲んでいる。精神科には何とも思わないが、田舎では差別的。来月、会社は自主退職。誰か助けてくれますか?それが事実。

精神保健福祉士 仕事がうまくいかない、経済的な問題。そうした問題の調整役。しかし実際、仕事を確保するわけではない。

内科医 身体症状を訴える3人に2人は内科にかかる。うつ病の可能性が高い人、希死ねん虜の強い人をみるようにしている。

遺族支援 薬物治療がアンチな報道がある。認知行動療法がスポットを浴びている。それをどう思っているのか?これまで治療機関が患者に向き合って来たのか?適切な治療が本当に行われているのか?

精神科医 去年ぐらいから、NHKで精神科医療批判。薬の使い過ぎで、カウンセリングをしない。と。理想的な国として、イギリスをあげた。患者フレンドリーではなく、医療経済的側面。医療費が莫大にかかるので、薬を使わないようにする方針。カウンセリングは万能ではない。中等度以上であれば、抗うつ薬。併用群が一番いい。最初から、5~6種類の抗うつ薬を出す医者もいることも事実。治療経過中に、3~4種類出すことはある。精神科医の診療報酬が十分ではない。宗教の否定も多きい。カウンセリングは宗教から起きている面がある。医療の部分と社会的サポート、人生上の悩み。それは精神科だけではできない。

僧侶 希死ねん虜のある人から15%、自死遺族からの相談が25%あった。どこに相談しよう?というのは、僧侶というのが頭に浮かんでこない。僧侶は、打ち明ける人であることを発信したい。

会場(男性) 内科医・木村。どこの世界でも「とんでも」がいる。残念ながら、ちょっと精神科はパーセンテージとして多いのではないか?標準化してほしい。誰でも薬は飲みたくない。薬を出すのは、限られた医者と限られた時間の中で効果が高い。認知行動療法は手間がかかる。すごい大変。

司会 言葉の力では脱出できないことがある。そのときは薬がサポートになる。精神科として「これはどうなの?」ということがある。しかし、報酬が不当に抑えられている。薬を出すしかないことがある。薬の工夫をするしかない。救急医療。救急センターでは医政局。精神医療は障害課、行政の中で、医療としてみられていない。精神科の問題は内部で相互批判しないといけない。みなさんからは厚生労働省や議会にメッセージを出してほしい。

● 自殺予防は誰の仕事?

司会 誰が担うのか?大綱が2007年発表されて、市町村、区、県がしないといけなくなった。やる人は「え?」って感じ。「勘弁してよ」という話も聞く。誰がどうやって取り組む?

僧侶 民間団体で相談を受け付けている。電話相談はハード。夜中に何度も電話をとる。そういうレベルでやりたいという人、2時間だけ募金活動だけという人。自殺のことというと大きなこととして構えがち。そうではない。年に一回だけ資金援助ということもできる。目に見えやすい関わりを提示できれば、関わりやすい。

精神保健福祉士 すべての人であるべき。自分としては、PSW。まず、取り組むべき。社会的な要因、その中でも、精神疾患が絡んでいるのであれば、PSW。自分の問題としてひきつけられるか。PSWは国家資格。使命をおびている。自殺リスクについて、関わっている分野でどうするのか。まず、プライマリーケアに。どうやってサポートしようか。いまは、ネットワークをつくって、勉強会をしている。まずは、できる範囲で。

小学校教員 子どもたちの住んでいる地域に踏み込む必要がある。ゲートキーパーの講座に足を踏み込んでいければいい。正しい知識と理解を得て、子どもに伝える。学校にできないことは地域の中で子どもたちにできるか。支えないながら。つながりがキーワード。

司法書士 多重債務の整理、借金の問題にたずさわって、自殺の問題を考えるきっかけ。自殺予防それ自体が仕事ではない。仕事としてとらえるのは、殺伐としていて、好きではない。向き合って話をする機会をもてるから、知っておかないといけない。病気だから死にたい?死にたいから病気?問題によって病気になって死にたい?問題を解決できればいい。前提として「死にたい」。多重債務を解決しても、自殺予防にはならない。連携していければいい。

会場(女性) 精神障害とかかわったり、住民への啓発。自分の仕事。しかし、予防だけでなく、精神疾患は、失業や死別、いろんな人生のライフイベントがからみあって出てくる。いろんな人が自殺予防ということをちらっと置いておいてほしい。仕事ではないプライベートな場でも深める必要がある。

会場(女性) すべての市民の方が、考える必要があることが大切。みなさん、忙しく、心の余裕もちがう。でも、1人を取り巻く中に属している。自殺予防はできるが、選択は本人。選択する際に、隣の人との思い出がよぎったりする。

会場(男性) 市民1人ひとりの仕事なのかな。本当にできることは少ないが、1人の自殺をふせぐために、得意としている分野ではっきしていければ、自殺は防げるのではないか。

NHK記者 メディアとしては何ができるのか。考えている。

●自殺予防の本質とは?

司会 日本の自殺者数と失業率の推移。すごく同じように動いている。納得させられているのかもしれない。北欧やヨーロッパの西は、失業率と関係ない。もしかすると、失業率が高いので、「がまんせい!」と、洗脳させられているのかもしれない。解決するために経済を強くするしかない!とか、号令をかけられている可能性もある。何が違うのか。社会保障の制度が違う。

遺族支援 「自殺予防」という言葉に嫌悪感を覚える。なぜ「予防」がないのか。残されている人がいる。そういう人たちも含まれている。気づけない自分たちを責めてしまう。「予防偏重」になりすぎると、遺族の人たちが苦しむ。結果的に命を守ることが本質。自殺を防ぐことが本質ではない。まじめに聞いてくれる第3者の存在が必要。

リエゾンナース 自殺企図をした人が初めて出会う人としている。その現状をどう受け止めるのか。医療にかかわる機会ができたので、生きる希望をつなげられるようにしたい。