総務省の「青少年インターネットWG」(主査・堀部政男・一橋大学名誉教授)の第2回会合が15日、総務省内で開かれました。前回の会合などが内閣府に報告され、内閣府内部の検討会で協議され。その報告がありました。青少年ネット規制法(青少年インターネット環境整備法)施行状況の検討課題として、

 1、保護者による青少年のインターネット利用の管理のあり方
 2、保護者等に対する実効性のある普及啓発のあり方
 3、保護者の安易なフィリタリング不使用・解除への対策等のフィリタリングの更なる普及に向けた取り組み
 4、フィリタリングの実効性の向上
 5、新たなインターネット接続可能な機器についてのフィルタリング提供義務のあり方の検討
 6、特定サーバー管理者の責任のあり方
 7、青少年有害情報を容認する行為への対策
 8、法第22条に規定する努力義務の徹底
 9、出会い系サイト以外のサイトにおける実効性のあるゾーニングの導入に向けた取り組みの推進
 10、各関係者に求められる責務の再確認
 11、各省庁が保持するデータの共有・活用のあり方
 12、インターネットカフェの年齢確認の徹底

 といったポイントが挙げられたことが報告されました。

 また、各構成員から現状の報告がなされましたが、気になった発言をメモ。

 「意識のない大人の子どもが問題を起こしている」(曽我邦彦・安心ネットづくり協議会副会長)

 「法はフィリタリングを重視している。しかし、端末も変わってきており、今の法のままでよいのか?という声もある」(堀部)

 「スマートフォンのイメージが変化してきている。子どもたちに聞くと、これまでは『ださい』だったのに、今は『かっこいい』へ」(竹内和雄・大阪府寝屋川市教委指導主事)

 「EMAがフィルタリングの選別をしている、という誤解がある。管理体制をきちんとしているかどうかをチェックしているのであり、EMAが健全かどうかを判断しているわけではない。認定サイトを決めるだけ」(岸原孝昌・EMA)

 「TVやゲーム機のフィルタリングについては10月末に検討会を立ち上げる」(経産省)

 また、竹内・寝屋川教委指導主事から、フィルタリングを推賞しているが、70代と思われる女性から苦情の電話をもらったことを報告。「フィリタリングを条件に孫にケータイを与えたが、孫がケータイ中毒になった」と。また、広告のリンクをたどれば、エロ小説のサイトにもアクセスが可能、との問題提起がなされました。

 「児童ポルノが掲載された場合、何日以内の対応をするのか?出会い系サイト(の規制)と同じように、レンタル掲示板を設置したら登録しなければならないのか?という危惧もある」(立石聡明・インターネットプロバイダー協議会副会長)

 「なぜ、フィリタリングの推奨パターンをキャリアで統一できないのか?」(石野純也・ジャーナリスト)

 「フィリタリングや時間制限がキャリアで違うと、友達同士のトラブルのもとになる」(安川雅史・全国Webカウンセリング協議会理事長)

 「現場の声は大切だが、とれはトータルなものなのか?個別ケースに引っ張られてもいけない」(別所直哉・ヤフーCCO・法務本部長兼政策企画室長)

 議論の印象としては、まだ、何を課題にすべきかが曖昧だからこそ、個別ケースにひっぱられている感じがする。もちろん、個別ケースの報告はそれなりの必要性を感じなくはない。しかし、フィリタリング内でのコミュニケーションでも、ケータイ依存になったり、出会ったりはできる。それは、今さら感があり、その場で報告すべきケースなのかどうかは疑問だった。

 教育の問題なのか、指導の問題なのか、それともシステムの問題なのか。サービス提供側の問題なのか。そして、青少年のネット利用について、どのように、どこまで、誰の責任でなされるべきか、という議論を前提にしなければならないはず。

 また、フィリタリングの普及が問題の解決方法なのか。たしかに法は、フィリタリングをすることで、「青少年有害情報」へのアクセスを遮断させようとしている。しかしそれは強制ではなく、原則であり、保護者の同意でフィリタリングを外せる。これは、フィリタリングを前提にしつつも、解除していることをありうる前提で対処しなければならないのではないか。フィリタリングをさせ、その利用率を上げることだけを見ていてはいけないと思うのだが・・・・。