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まだまだ知られていないキャバクラユニオン JPNews 10.01.

 「今日、遅刻しちゃったんですよ。時間も遅かったし、罰金3万円ですよ。今夜はただ働きみたいなもんです」

 年末の新宿・歌舞伎町。知り合いの客引きに連れられていったそのキャバクラ。友人たちと一緒に入り、フリー(指名がないこと)で楽しんでいると、あるキャバクラ嬢(20代前半)がそう口にしました。

 たしかに、遅刻するのは、本人が悪いでしょう。しかし、その「悪さ」につけ込み、「悪さ」以上の罰を加えてよいはずがありません。

 昨年12月、キャバクラユニオン(桜井凛=仮名)が結成されたニュースは日本中を駆け巡った。違法な罰金、賃金未払いなどに対抗するために結成された労働組合で、キャバクラ嬢が声を上げたケースは日本では初めて、とも言われている。

 しかし、キャバクラの労働環境は景気悪化を受けたこともあり、改善されることはない。このニュースを聞き付けた母親から電話があったというキャバクラ嬢(21)は、

 「店との関係を悪化させたくない。だから、組合に入るとかは考えない」

 と話す。それよりも、必要経費を計算して、確定申告をして、払いすぎた税金を取り戻すことのほうがいいと考えている。そうすれば、お金も戻ってくるし、店との関係も悪化しないと思っているようです。

 キャバクラユニオンは結成後、厚生労働省内の厚生労働記者クラブで記者会見をしました。出席していた記者のほとんどが男性だったこともあり、そこでちょっと個人的に思ったことがあります。

 「仕事や遊びなどでキャバクラに行く男性も多いはず。会見で、キャバクラ嬢が違法な労働環境にあることを全く知らない前提で質問をしいたけれど、遊んでいるキャバ嬢から、労働環境の話とか聞いて、知っているんじゃないのか?よく、知らない前提で聞けるな・・・」

 そう思ったのです。

 でも、日本的マスコミは自身の経験や思いを入れるような“主観報道”をせず、常に、第三者が体験をし、意見をしている“客観報道”に徹しているのです。だから、記者個人が、いくら見聞きしても、会見では知らない前提で聞いてしまうのは仕方がないのでしょう。

 会見に同席した、フリーター全般労組の布施えりこ子共同代表は、「どんな相談が多いのか?」との質問に、

 「どの店もフルコース。違法な罰金は全店舗にある。最後の一ヶ月とかは、未払いも当たり前になっている。払いとしても、最低賃金分を計算して払っていたりする。それが常識になっている。

 セクハラに関しては、相談は少ないです。ネットでも書かれたが、『キャバクラ嬢はセクハラされて当たり前の職業』と。本人たちもそう思っていたりする。話を聞く中で、セクハラということがわかってくる。

 ほぼ確実にあるのが、求人広告にある時給。それが支払われない。彼女たちもそれが常識になっている。店側も問題に思っていない」

 キャバクラ嬢たちは、一般のアルバイト以上に、労働者意識を持っていないようです。私も接していてそう感じます。だからこそ、会見で私は、代表の桜井さんに、労働環境が悪いことが当たり前と思っているキャバクラ嬢に何か伝えたいことはあるか?と聞きました。

 「当たり前と思わないでほしい。誰かに相談することで、間違っていることに気がつく。自分だけではわからない。友人でもいいので、相談してほしい。外から自分の状況を見ることは大切です」

 私も思うのです。それに、待遇がよい、あるいは労働環境がよいキャバクラは、キャバクラ嬢の接待の質もよいと。だから、客の立場からも労働環境の改善はしてほしいです。

 インターネットでは、「キャバクラなんて、(違法状態があるようなところと)そう思って働いているんでしょ」などと、職業的な批判が多くあります。しかし、キャバクラ嬢も一人の人間です。人間としての尊厳を得られるようにしてほしいです。

 まだまだキャバクラユニオンは知られていません。新しく知り合ったキャバクラ嬢も、そんなニュースを見ていないのです。ただ、Twitterで知り合ったキャバクラ嬢は、「ぜひ入りたい」とつぶやいていました。もっと知られるようになり、働きやすい職場になってほしい。