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日本の自殺対策は大丈夫? 09.12.22
もうすぐクリスマスです。私は、フジテレビのバラエティ番組「明石家サンタの史上最大のクリスマスショー」をいつも観ています。この番組は、1990年からクリスマスや年末に生放送され、97年からはクリスマス•イブに放送されています。タレントの明石家さんまが司会を務めます。それが「明石家サンタ」で、クリスマスで1人で過ごす人が、不幸な話をすると、プレゼントがもらえたりするのです。
一方、クリスマスや年末年始といった時期には、孤独感が増すという話もあります。12月は自殺が多いというイメージもあるくらいです。ただ、実際には12月が多いという統計上の根拠はありません。日本の場合は、年度末である3月のほうが自殺率が高まります。
香港では似たような呼びかけがあったようです。報道によると、香港のソーシャル•ネットワーク•サービス(SNS)内の自殺に関連するコミュニティで、「クリスマス前の12月21日に、一緒に死のう」「練習しておこう」との書き込みがなされました。自殺の詳細な方法も書かれていたともいいます。
この呼びかけに反応した女子高生が、待ちきれなかったのか、11月初旬に、学校の屋上から飛び降りをはかったのですが、同級生が阻止しました。女子高生は治療を受けることになったのですが、カウンセリングの中で、SNSでの呼びかけが発覚したのです。
アメリカでは、2005年2月、14日のバレンタインデーに集団自殺を呼びかけた26歳の男が殺人教唆の疑いで逮捕されました。男が集団自殺を呼びかけるメールを大量に送ったのです。その計画によると、アメリカやカナダから少なくとも32人が参加するというものでした。なかには、子どもと心中をしようとした母親もいたといいます。
日本の自殺系サイトでは、毎年のように、クリスマスや年末が近づくと、集団自殺の呼びかけがあったりします。しかし、今年は、私がチェックする限りでは、そのような呼びかけはありません。もしかすると、サイバー•パトロールによって削除要請がされているのかもしれません。
しかし、新しく集団自殺のための掲示板ができていることに気がつきました。メールアドレスを公開し、ネット心中の呼びかけをしています。
もともと、インターネットを通じて、見ず知らずの人と自殺をするという行為は、韓国で初めてありました。それが日本にも飛び火した形ですが、連鎖のきっかけになった呼びかけ人は韓国ので出来事を知らなかったようで、それよりも日本の新聞記事を参考にしたことがわかっています。日本でのネット心中が国際的に注目を浴びたことで、インターネットと自殺との関連性が問題視されるようになったとも言えます。
日本では2009年の年間自殺者が、過去最高だった2003年の3万2109人を超してしまうことが懸念されています。派遣労働者の増加や格差の拡大、リーマンショックなどが要因とされていますが、06年に成立した自殺対策基本法がまだ十分に機能していないことも要因でしょう。
どのように自殺を防ぐのか、また、自殺があったときに遺族に対するサポートをどのように進めていくのかなど、課題が残っています。内閣府は「自殺対策緊急戦略チーム」を発足させ、年度末までを想定した「自殺対策100日プラン」を策定しました。社会資源をプルに活用し、行政が有機的な連携ができるように呼びかけています。
ところで、拙著『ネット心中』がハングルに訳されました。日本でネット心中が連鎖した2003年ごろに書かれたものです。そのため、データもそのころのものになっています。しかし、このとき、私が書いていたことは、未解決の問題が多いのです。もし、読んでいただければ幸いです。
若者たちはなぜ自殺するのか/渋井 哲也
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