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メイクの似合う「化粧男子」を探せ! JPNews 09.11.30


 メイクの似合う可愛い男の子を探そう!と、「第1回 東京化粧男子宣言」が11月26日、東京都荒川区の町屋ムーブホールで開かれました。女装子ブームの中で、メイクをしてきれいになる男性を探すのが目的です。同時に、ジェンダーの「男らしさ」のイメージを払拭し、「男性の中にある繊細や弱さ、優しさと前向きに向かっていきたい」(パンフレットより)ともしていました。

 このイベントのプロデューサーは、井上魅夜さんです。現在はモデルや女優などをしていますが、生物学的には男性です。その魅夜さんが女装子になったのはここ数年のことです。今年創刊された「オトコノコ倶楽部」(三和出版)創刊号の表紙も飾りました。女装をする男性たち=女装子が認知されつつある現状があるのです。ただ、井上さんも、男性とか女性にこだわりたくない思いがありました。それがこのイベントの原動力になったのです。

 もちろん、「女装したい男性たち」が認知され始めたことは、寛容さの現れかもしれません。日本では、性同一性障害が広く認知されはじめ、これまでは「ニューハーフ」や「オカマ」、「ふたなり」などのくくりにされていた男性たちが、性転換手術をし、性別を変更することができる法律が整備されてきています(もちろん、女性が男性に変更することもできます)。

 先日、日本で最初に性同一性障害をカミングアウトして議員になった上川あやさん(世田谷区議会議員)の講演会を聞きました。27歳まで5年3ヶ月の間、サラリーマンをし、ワーカーホリックになっていたといいます。「自分らしくありたい」という悩みを見つめることが怖かったことも一つの理由なのでしょう。

 男の子を好きにはなりますが、ゲイでもないとも思っていたようで、勉強会に参加して、「女性に近いのではないか」と感じるようになったのです。「性同一性障害」という言葉が産まれる前のことでした。

 性には、1)遺伝子レベルで性別が決められる、という「生物学的な性」、2)自分自身がどのような性と思っているかという「性自認」、3)性行為の対象が男女のどちらなのか、という「性的指向」があります。上川さんは、この性についての考え方に出会うまで苦しんだのです。

 さて、「化粧男子」はどうでしょうか。

 「女装子」という言葉がありますが、この言葉は、一日中女装をしている「フルタイム」か、たまに女装をする「パートタイム」かは別として、女性のファッション、見た目を指向しています。性自認や性的指向はバラバラです。女装というところでカテゴライズしています。

 一方、化粧男子は、文字通り、「化粧する可愛い男の子」のため、女装ではなくてもよいのです。ファッションで女装なのか、男装なのかを決めることができません。

 イベント当日、8組のモデル(男性)とメイクさんがセットでエントリーしました。メイクさんの中にも、「もともとは男性だった」女性もいました。審査員は、「キャンディ・キャンディ」の漫画家・いがらしゆみこさん、ミス・ユニバース・ジャパンの企画円を手がけるビージージャパンの社長・谷本龍哉さん、ニューハーフセクシータレントの月野姫さん、女装家で性社会史研究家の三橋順さんの4人でした。

 グランプリは、ギャル風(?)な女装をした「るる」さんに決まりました。化粧や着こなしが上手だっただけでなく、仕草も評価されました。他の人たちがインタビューを受けている間にも、座り方に気を使っていたことが、審査員たちの目に止まったのです。審査員特別賞は「みなみ」さん。完成度という意味では、「るる」さんに負けてはいません。残念ながら、「最も普通で、友達にいそう」という視点で、私が目をつけたモデルさんは選ばれませんでした。

 プロデューサーの井上魅夜さんは、

 「来場者は120人ほどで好評でした。しかし、課題も多いです。たとえば、イベントを報道したニュースを見てみても、“女装コンテスト”と言われてしまったのです。『化粧男子』という言葉をどう位置づけていくかを考えなければいけません。現状では、それが、『女装』のように見えてしまうことがあります。しかし、参加してくれたモデルさんたちの男性性を殺したわけではありません。ただ、理屈よりも、より美しいものを求めていきたいと思います」

 と話しています。

 今後、「化粧男子」という言葉が「女装子」とどのように区別されていくのかは、イベントを繰り返す中で、確立していくことでしょう。男性も女性という性別の枠を超えて、「なりたい自分」になれるファッションが登場し、それが日常の風景になる日がやってくるかもしれません。