明日、自殺しませんか―男女七人ネット心中 (幻冬舎文庫)



 インターネットを通じて仲間を集めて一緒に自殺する「ネット心中」に関して、福岡県警では、見届け役とされる大学生を逮捕したことを発表しました。「ネット心中」では、これまで、生き残った人を「自殺幇助」で逮捕することはあったものの、「保護責任者遺棄」で逮捕したことは初めて。また、見届け役がネットの書き込みレベルでは確認したことがあるが、立件されたケースでは初めてではないか?

 報道などによると、大学生が集団自殺を呼びかけて、5人で集団自殺を計画した。しかし、大学生は「見届け役」として参加していたらしい。どうやら、大学生はいったん現場から立ち去り、他のメンバーからの連絡で現場に戻ってきたらしい。

 いくつかの疑問・・・・。

 ○これは猟奇的だったのか?
 自殺系サイトをめぐっての猟奇的殺人といえば、2005年2~6月に起きた大阪・自殺系サイト殺人。元派遣社員のMが男女3人を殺害して、死刑判決を受けた(執行済み)。Mは、相手の苦しむ姿に性欲を覚える性癖を持ち、これまでも事件を繰り返してきた。服役もしたことがあるが、欲求が抑えられなかった。

 しかし、猟奇的であれば、死ぬ瞬間などを目撃したいという目的もありそうだが、一度現場から立ち去っていることを考えると、死を目撃することはない。そのため、猟奇的な側面は薄い。

 ○どのくらい悪意があったのか?
 悪意があれば、素性を知られたくないはず。知られないためには、顔を知られないようにしたり、メールはフリーアドレスにするだろう。しかし、複数の人に顔を知られるようになっていたし、意図的な悪意が存在したようにも思えない。

 ○なぜ、見届け役なのか?
 
 自殺する側からすると、(たとえば、何度か自殺未遂をしているため)確実に死にたい。そのために、中途半端なことはしたくないが、方法がわからない。だれか、方法を教えてほしい、手伝ってほしいというものがあるのではないか。
 見届ける側からすれば、同情、あるいは共感的な立場で、方法を教えてあげた、手伝ってあげた、というものではないか。

 ネットを介して、死ぬ現場を立ち会ったケースとしては、2007年10月に起きた、川崎「なんでも屋サイト」殺人事件がある。逮捕されたデスパ(ハンドルネーム)は、自身が開設した「なんでも屋サイト」を通じて、自殺願望のあった長野県出身のOLと知り合い、殺害を依頼される。

 しかし、このときも「見届け」はしていたが、金銭目的であり、「見届け役」が目的ではない。

 その意味で、始めから「見届け役」として募集していたり、途中のやり取りで「見届け役」になったとすれば、立件されたケースでは初めてとなる。


“自殺仲間”放置容疑で逮捕 福岡
11月4日16時48分配信 産経新聞
 福岡県警は3日、練炭による一酸化炭素中毒で自殺しようとした男性を助けるため必要な措置を取らなかったとして、保護責任者遺棄の疑いで、その場に立ち会った福岡市東区水谷、大学生、清水孝容疑者(24)と、一緒に自殺を図ったいずれも住所不定の無職、田中秀和容疑者(27)、少女(19)の計3人を逮捕した。

 3人の逮捕容疑は、9月19日午前0時ごろ、福岡県矢部村の体育館の駐車場に止めた車の中で、練炭を燃やして自殺しようとして意識不明となった広島県東広島市の男性(30)を、福岡県久留米市の別の駐車場まで連れて行き、車から降ろして放置したとしている。近くに住む人が倒れている男性を見つけ通報、男性は病院に搬送され意識を回復した。

 福岡県警によると、3容疑者は、インターネットの自殺サイトで男性や久留米市の女性(37)と知り合い、計5人で集団自殺を計画した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091104-00000585-san-soci

<保護責任者遺棄>容疑の大学生ら逮捕 自殺見届け 福岡
11月4日1時12分配信 毎日新聞
 集団自殺を図った際、意識がもうろうとなった男性を放置したとして、福岡県警は3日、福岡市東区水谷1、大学生、清水孝(24)▽住所不定、無職、田中秀和(27)の両容疑者と、住所不定の無職少女(19)を保護責任者遺棄容疑で逮捕した。男性は現在入院しており、県警は今後、詳しい経緯を調べる。3人は「男性をどうしたらいいか、考えつかなかった」と話し、容疑を認めているという。

 逮捕容疑は9月19日午前0時ごろ、福岡県矢部村の村民体育館の駐車場で、清水容疑者の呼び掛けで集まった田中容疑者▽無職少女▽同県久留米市の女性(37)▽東広島市の男性(30)--の4人が車内で練炭を燃やして集団自殺を図ったが、失敗。同日午後5時20分ごろ、意識がもうろうとなった東広島市の男性を久留米市新合川のマンション駐車場に放置して、立ち去ったとしている。

 清水容疑者は、自殺サイトに「一人では寂しいので、一緒に死にませんか」などと自殺を呼び掛ける趣旨の書き込みをしていた。5人は9月ごろ、このサイトを通じて知り合ったとみられ、レンタカーのワゴン車内で睡眠薬や酒を飲み、練炭2個を燃やして自殺を図ろうとしたという。

 この際、清水容疑者は約20分間でいったん現場から立ち去っており、残りの4人に「自殺するつもりはない」と告げていたことから、県警は清水容疑者が「見届け人」の役割をしていたとみている。

 事件は、男性が放置されたマンションの住民が119番して発覚した。男性は一酸化炭素(CO)中毒のため、自分の名前が分からなくなるような深刻な障害が残ったが、調べに清水容疑者は「CO中毒になるとは思わなかった」と話しているという。久留米市内の女性も意識が薄れたが、自宅に送り届けていた。【丸山宗一郎、松尾雅也、島田信幸】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091104-00000002-mai-soci